久々の更新

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サーバーの調子が悪く、わたしでは修理できませんので、長らくお休みいたしていました。ブログを楽しみにしていただいている方々がいらっ しゃるのにすまないことです。ボツボツと再開したいと思います。今年の冬は格別厳しい寒さでした。震災に遭われた方々にはひとしお寒さが厳しゅうございましたでしょう。一年前の惨状を思い出しますと、明日に希 望を持てる日が一日も早く来ますよう心から祈ります。東北の大震災に衝撃を受けた方は多くいらっしゃると思います。わたしもその一人なのですが、 以前から仏教に惹かれていたこともあり、ごく素朴に「お釈迦さまがこの場にいらっしゃったら、どのようにおっやられ、どのように導かれるのだろう か」といった疑問を持ちました。初心に帰ってもう一度読み返してみたい・・・そのように思いナーガールジュナの中論に挑戦してみました。

夏帯三点

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今年の夏のための帯地の一部をご覧ください。中央は栗山紅型の麻九寸です。柄に魅力を感じて求めました。両端は捨松さんの八寸夏帯です。絣りで織っていまして、なんとも風情を感じ、惹かれました。珍しい試みですよね。小千谷、夏結城、夏大島・・・などに合わせていただいていかがでしょう。お召しになるご当人は暑いことに変わりはありません。見る人へのさりげない涼感のサービスでしょうか。考えてみますと、日本人の季節とともに生活を楽しむ豊かな感性に育てられてきた一つの文化でもありましょう。昨今の状況を見るにつけ、いろいろ考えさせられています。ブログでもすこしは愚見を申し上げたいと思っています。とくに、機屋さん方はお読みいただいていることも聞いています。面と向かっておっしゃれないこともあるでしょう。わたしの考えの足りないところ、また、反対のことなど、投稿していただければ実際にきものをきていただいている方々に作る人の考えや現状が伝わると思います。
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絣のためのくびり

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防染のために白で残したい部分をくくります。くびりと申しますが、ただ今は多くは捺染でいたします。製作の現場では、手織は仕上げの段階で、くびりの位置を決めることと、くびりの工程がもっとも大切とされています。縦糸も横糸もくくります。その設計図と縦糸の整経の写真をご覧ください。
20120223b.jpgわたしはこの設計図は初めて拝見しました。とても繊細な仕事です。いぜん、大島をコンピューターで織る試みがなされ、相当量の大島が織られました。その精密さは見事なものでしたが、わたしはなじめず見送りました。数年で製造しなくなりましたが、人の手作業の稚拙さに残る温かみ・・・はかけがえのないものかもしれません。
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経ての設計です。右下に糸を交互に組んだ部分があります。畦と申しまして、筬を通すときの糸の順序を決める部分です。この工程はわたしも綴れで経験しました。八寸の綴れで糸数は800本です。この経ては1800本だそうですから、糸も細いですが頭が混乱しないように・・・集中しないと失敗します。

六日町

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塩沢は越後湯沢から車でやく30分かかります。湯沢までお出かけの方は少し足をのばしていただきますと上杉謙信の生まれ育った地があります。越後上布や塩沢の産地でもあります。写真は六日町の雁木通りです。雪から通行を守ります。六日町にお出かけの節は、そばの絶品もお楽しみください。萬盛庵さんの「へぎそば」がお勧めです。日本酒にもよく合うと思います。上布の意味は献上布から・・・とか。昔から高級品ではあったのですね。

ナーガールジュナ2

20120216.jpgなんとか、やっと・・・中論を読み了りました。戦後の教育ですから、ヨーロッパの実在の考え方のなかで育ってきています。有と無との両極端を離れて、中道の考え方に・・・容易に変われるものではありません。もし宇宙がナーガールジュナのおっしゃるあり方で存在するのならばわたしの今まで生きてきた価値観とは大きく違います。それがすべての苦を生んでいるとしたら・・・この年になってこのようなことを考えねばならぬ羽目に陥ってしまいました。途中で見たくない!と思いました。でも怖いもの見たさに・・・しかし、まだまだ理解したとは言い難いです。

地機(いざり機)

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写真の機が地機とかいざり機と呼ばれている手織の織機です。結城で使われている地機の原型がこの機なのだそうです。地機の語源も教えていただきました。結城は一昨年ユネスコの無形文化遺産に登録されましたが、小千谷縮や越後上布は一年早く登録されたのだそうです。はずかしいことですが、知りませんでした。わたしは以前、塩沢は著名な工場を見学に来たことがあります。そのときはがっかりして帰りましたが今回はとても感動いたしました。このような姿で残されているなんて想像もしていませんでした。下の写真はこの工房のご当主、林正機さんがご自分で真綿からの糸取りを見せてくださっている場面です。林宗平工房は先代が人間国宝であり、今もその技法を守っておいでです。
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糸を績む

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苧麻から糸へ・・・乾燥させた苧麻の表皮を割いて糸をつなぎ(績むと申します)ます。ラミー麻は機械で製糸されるそうですが、苧麻は一本一本表皮をさいて績みながら糸にして参ります。そのような製糸がいまも生きているなんて・・・わたしは何度もお訊ねいたしましたが、そうなのだそうです。苧麻の性質によるのでしょうね。このようにして糸にし、手織りに掛ける・・・ゆったりとした時がながれてゆきます。