丹後の紬紗と五泉の長じゅばん用絽の生地

アップの上の写真は、丹後製の紬紗の生地です。本来はおしゃれな小紋などを染めて、高級夏物として発売される生地ですが、AB反として、すこし織キズがあり、出てまいりました。最近は大島でも紗の地紋を織ったり、米沢でもさしめさんが魅力的な夏物を制作されたり、少量生産ですが、いろいろ試みられています。専門に探してみますと、ものつくりの変化は見えないところでみなさん頑張っておられることに気が付きます。この生地は¥32,000、-(別税)でお願いいたします。五泉の絽の白生地は、580gの目方です。きものにもなるのですが、最適は、ウオッシャブルの長じゅばんだと思います。単衣や夏の季節の長じゅばんとしてご利用ください。3反ございます。¥15,000、-(別税)でお願いいたします。ウオッシャブルにできない絽の襦袢地でも、ことしは2万円を超えてきています。この生地は値段が上がったとおもいますが、まだまだ安いと存じます。来週にはいりますと、たきちも今年の末に向けた予定を申し上げようと思います。

丹後、紋古代、夏物など

昨日は、大手二社が東京に出かけてきてくれていました。これでだいたいの上物を扱う京都のメーカーの多くが一月の展示を終わります。担当のかたには手間を取らせましたが、京都の状況、生産の目安などいろんなことを教えてもらっていました。どちらも呉服業界を背負っている商社であり、買い継ぎですから、姿勢はしっかりとしています。一社は丹後、長浜、五泉を網羅する白生地の大手です。わたしが白生地のAB反を求めますので、気にして情報も集めてくれています。ざっと見たところも、AB反の入荷数量は少なくなっています。紋紗などはまったく入荷がありません。アップの写真の最初は、大鳳さんの紋意匠です。袷用の生地ですが、単衣にもお使いいただけます。中央の写真の反物は、以前は紋古代ともうします織り方なのですが、表と裏の柄が違います。複雑な織物ですね。この生地は、ほとんどが作家ものとして、柄の凸の部分を摺り、地紋起こしのように加工して発売されたのだそうです。それは、おしゃれな小紋になったでしょう。この反物はAB反として出ました。下の写真の生地は、紋意匠の単衣用の生地です。少し透けがあり夏物には向きませんが、単衣には腰もあり、向いているとおもいます。機屋さんによっては、いまだに太い抜きで、麦わらでも織るようにちりめんを織るところもあります。注意しながら上手に通り抜けてゆかねばなりません。これらの反物はいづれも¥32,000、-(別税)でお願いいたします。まだ値段は高くなっていません。

振袖の事件は、あまり話題になりませんでした。このへんのメーカーは同じ業界といっても、まったく違う世界で、わからない・・・のが実情でしょう。ただ、これだけの被害額があるということは、このような品物や販売の仕方でも、お求めになる人がある・・・・ことがとてもショックです・・・と語っておられました。一Xという、倒産しては名前を変えてまた営業をする常連の一人だそうですから、「それは、どうにもなりません・・・」と苦笑しておられました。でも、呉服業界にとっては、相当悪いイメージになるでしょう。それが心配ですと語られるように、大きな影響があるとおもいます。もう一社の方は、水を向けたのですが、黙殺されました。「お前にとって、重大な事件なのかい?」と言われているようで、赤面のいたりです。まだ屋台骨はしっかりとしている・・・と感じました。

丹後、綸子の絞り絵羽長じゅばん

日本製の生地の絞りの絵羽長じゅばんです。六枚ございますが、ピンク、ブルー、ベージュ、藤色など。地紋は一様にむじな菊の柄です。柔らかな肌さわりで、昔から作り続けられた長じゅばんです。この長じゅばんは、付け下げや訪問着、無地などの礼装のきものに合わせることを目的に作られています。ちりめん地のきものですと同じ感触で、よくきものに添います。大島や紬は生地に腰があり、肌さわりもすこしつるつるとして裾さばきも楽です。そのような着物には、壺金のような(精華と申します)八掛の生地の織り方のほうが添いがいいと思います。そのように特徴がございますが、国産の長じゅばん生地そのものが高値で、なかなか全部の種類そろえれません。機会があり、手に入りましたら、精華のきじの長じゅばんも揃えたいと希望しています。お値段は¥32,000、-(別税)でお願いいたします。

先日来、振袖の販売会社の不祥事が報道されています。被害に遭われた方々は本当にお気の毒で、防ぎようがなかったのではないかと思います。それだけに、業者は非難されて当然とおもいます。なんとか救済の方法がないものかと思い、きもの業界も真剣に対応しようと行動にうつしているようで、まだしも・・・とは思いますが、どのようにしてこのような事件が起こったのか、理解できない面もあります。わたしは業界が長いですから、どこがこの種の着物を作り、どこが販売しているのかほぼわかっているのですが、わたしの実感から申し上げますと、お求めになられるより、レンタルのほうがいいのでは・・・と思います。真面目な業者がいなくなったわけではありません。現実に、問屋をやめて、振袖専門の販売会社を設立なさっておられる方もいらっしぃます。やはり、プロが分野を変えて振袖を扱うのですから、鑑識眼はきちっとしています。できれば、会社の設立者の経歴など、できる限りお調べになられることも大切でしょう。もっとも、営業は2か月くらいの即席の講習で最前線に出すわけですから、なにもわかっていません。残念ですがお求めになられる方が自衛なさるより致し方ないのが現状だと思います。やはり、デパートがもっとも信頼できるのではないでしょうか。すくなくとも、何人かのプロの目を通って皆様の前に品物が出てまいります。数百年の蓄積のある染めや織の世界です。腰掛でできるような仕事ではありません。少なくとも、数年の経験を積まないで、人様の前でものを言うことなど、三十年ほど前までは、論外であった世界です。それだけ、奥行きがあり、専門家は自分の知識と経験には誇りを持っています。みなさまの常識とおおきく違っているかもしれません。でも、わたしの先代までは、広池さんの最高道徳科学(いまの麗澤大学の経営母体)であったり、石田梅岩の「石門心学」などを学ばなければ、業界の中堅以上の方と話をしても相手にもされませんでした。わたしたちは染めや織の世界に仕えているという心を失っては暴走をしやすいです。心しなければならないと思います。

丹後生地の絞り長じゅばん

長じゅばんが在庫がほとんどなくなり、なんとか安くで手に入れたいと昨年末ころから諸方に打診をしていました。日本製のものはみなさん売り惜しみで、なかなか譲ってもらえません。ようやく長年のお付き合いのある絞りやさんを泣き落としまして、何とか丹後の生地で絞った上質の長じゅばん地を10点は手に入れました。昨年来扱っていました壺金のぼかしの長じゅばんは、200反くらい買ってくれれば、値段は相談に乗る・・・と言われましたが、さすがにそれはわたしの能力を超えていますので、あきらめました。中国の人々の天然繊維への需要増はすざまじく、絹糸は30%を超える値上がりのようです。14億の中国の人たちの需要の動向は、世界の商品の相場を左右するほどの大きな力があるのですね。ご覧いただいている長じゅばん地以外に、絵羽になっているものもございます。写真はきょうは出せませんでしたが、¥32,000、-(別税)でお願いいたします。この後は、やむをえず中国製の生地になるかもしれません。(可能な限り避けたいと思っています)

京都のメーカーが東京で問屋相手に展示いたしますのが15日くらいでほぼ終わります。いちおう全部拝見して、わたしなりの今年の動向を判断したいと思っています。

あけ田、訪問着単色

あけ田さんの単色の訪問着をごらんください。生地は丹後の紬です。紬と申しましても、羽二重のような生地にすこし紬の糸が入っている・・・といった生地です。この生地は男物に使ったり、わたしもいろいろに使わせてもらっています。染めは型友禅です。地は蒔き糊で観世水など三段階の柄の染め分けになっています。爽やかな訪問着で、単衣にも新春から五月ころの初夏くらいまでの袷になさっていただいても絵になるお着物です。あけ田さんはプロの間ではとても評価の高い染屋さんで、摺り染めのものには優れた品物をよく見ます。この友禅は摺り染めではございませんが、染めの切れ味ともうしますか、染め上がりの鮮やかさはさすが・・・と思います。あけ田さんとは古いなじみで、正月には、お年玉の値段でいくつか求めることが恒例になっていまして、申し訳ないと思いながら、値切るのを楽しんでいます。もっとも、お客様にかならず還元申し上げています。

このきものは昨日、お越しいただきましたお客様にお求めいただきました。お願いしてホームページに出させていただいています。あけ田さんの別な一面を多くの方にご覧いただきたかったのです。型友禅には摺りにないこのような一面がございます。機会多くお召しいただく方ゝ、この染めの爽やかさをぜひ身近に置いていただきたいと思います。かっては、古代友禅、加納染工など、型友禅のいい染め屋さんがおいででした。あけ田さんは頭一つ抜け出た、いい染屋さんでございます。

山口さん、小平さんの袋帯

左の写真の小平さんは、わたしは存じません機屋さんです。証紙番号が9ですから、よほどの老舗の機屋さんにはちがいないのですが、聞きますと小さな機屋さんのようで、わたしが求めましたところが三柄を各十本織ってもらったとのことでした。展示会の元締めのような存在ですから、発売価格を聴いても意味がありませんが、糸はさすがに若い番号の機屋さんだけのことはあり、軽くていい糸を使っておいでです。訪問着、留袖、あるいは無地の紋付など礼装のおきものに合わせていただきたい格調の高い帯です。織機で織られていますから、手機のような味わいはございませんが、安手に作った帯とはちがい、品の良い重い織の帯地でございます。¥75,000、-(別税)でお願いいたします。

右の山口織物の唐織は、どなともご存知の能衣装を専門とする唐織で有名な機屋さんの帯地です。この山口さんと山城さんが唐織では名を知られた機屋さんで、山口さんは私ごときではなにも言えない大きな存在ですから、山城さんに伺って、倉庫から昭和初期の織り見本を出してもらい、地色を変えたりして織ってもらいました。この帯地は、写真をご覧いただきましても、さすがにいい機屋さんです、織にも品性があり、柄もよく生きています。能衣春秋錦紋の名前の通り、季節を問わずお使いいただけます。年齢の幅も大きく、付け下げ、訪問着と礼装のきものに合わせていただきたい帯地です。¥98,000、(別税)でお願いいたします。

わたしは60年ほど呉服の世界で生きてまいりました。丹後で生まれ、京都で育ち、東京を自分の生きる場所として、過ごしてまいりました。いま、業界を去ろうとしながら、やはり自分が生涯を生きた世界ですから、いろいろな思いが重なって思い出されます。いまさら業界の体質など・・・と申し上げましても、なんの役にも立ちません。その時代その時代で、着る人も作る人もそれぞれの価値観を持って生きているのですから、将来はまた違ったきものを違った価値観で求めていただくお客様がいらっしゃるでしょう。わたしがただいま立っている場所は、いま作られているきもののもっとも高い水準の場所です。白生地、小紋、付け下げ、そして帯地といづれを取りましても、手に入らないものはない・・・と申し上げて大きくはちがいません。しかし、わたしにはどうしても納得できない大きな問題があるように思っています。それは、実需に耐える価格でものが作られていない・・・という点です。だれでもお気に召せば求められる価格で売られていません。いま、トップの手つくりのごくいいものはデパートをはじめ、専門店でもよくお求めいただいています。しかし、もっとも中心になるはずの、中級品が全く低調なのです。原因ははっきりとしています。中級品が高くなりすぎているのです。でも、この流れはだれにも止められないとおもいます。わたしのような「いいものをだれでも求められる値段で・・・」と思うものは存在理由がなくなっていくように思います。

証紙番号700、まことさんの名古屋帯

まことさんの名古屋帯、荒磯紋でございます。むかしからまことさんや丹波屋さん、捨松さん、藤田さんなどは個性的な手織りの名品を作る機屋さんとして知られています。この九寸は、昔から付き合っていたひとから安くで譲ってもらいました。白地に荒磯紋を織りだした上品な名古屋帯です。初釜などに紋付の無地に合わせていただきたい帯でございます。飛び柄の小紋や付け下げに合わせていただいて、柄も品物も十分に対応いたします。¥75,000、-(別税)でお願いいたします。

お正月から、京都をはじめ、業界の方々の見通しを聞いています。素材の絹糸の世界的なひっ迫で、30%くらいの値上がりが避けられないようで、長じゅばん地、無地の白生地、紋意匠、裏地、八掛地などの値上がりは避けられないようです。中国製の白生地は表生地についてはいろいろ問題があり、長じゅばんや裏地が中心になっているのですが、みやこさんのように、中国でスクイを制作をして、「これだけのものを日本人がつくれますか・・・?」と言われるように、とても優れた織物を制作していられるところもございます。藤娘きぬたやさんも中国で作っておいでです。日本製と遜色はございませんが、値段もほぼ同じです。中国の質の高い織物はそれなりに評価をしてゆかなければならないとおもいます。でも、白生地はすこし違うようにおもいます。三十年も以前に、中国で白生地の製造を試みたある丹後の大手の機屋さんが、あらゆることを試みましたが、うまくいきません。最終的に気候風土の違いとしか考えられません・・・と話しておいででした。いまは改善できていますが、わたしは触りましても違和感を感じます。ともあれ、ことしは値上げラッシュになるとみなさん覚悟しておいでです。たきちのことには明日から申し上げたいとおもいます。