泰生さん、澤瀉がら名古屋帯

 

 

泰生さんの名古屋帯です。泰生さんは〆切をお願いしてから依頼の帯地です。この柄も〆切りにできたらなお一層すばらしい帯になると思うのですが、予算を大幅にこえますので断念せざるをえません。ごらんいただいてやはり泰生さんの重厚な織に安心と申しますか、信頼を置けると感じられる方が多いと思います。いま、わたしには〆切りを作る力がありません。すこしの値段の違いでしたら頑張って発注するのですが、三割も違うとあきらめざるをえません。また、引き箔の帯地も、発注そのものを断られます。技術的にキズが出すぎて、織ることに踏み切れません・・・というのが現実です。ではなぜ以前はキズもなく引き箔が織れたのか・・・なのですが、もうその言葉は禁句です。口に出しても解決のためには何の役にも立たないのです。職人の質を論じるのは簡単です。でも、織り賃はいくら出しているのでしょうか?また、仕事に見合った正当な価格で売られているのか・・・・も同じレベルで考えあわせなければ全体の姿はみえてきません。ともあれ、このような高度な染色の文化は身に着けて表現していただく方々の感性が衰えたときには退化し滅びます。業界が伝統の上に胡坐をかいて、努力を怠ったことも大きな一つの原因でしょう。とりあえず、この帯地は¥98,000、-(別税)でお願いいたします。

風神雷神図、訪問着

 

 

 

先日、加賀の作家さんの風神図の訪問着をごらんいただきました。ご覧いただいた訪問着もすばらしい作品だと思います。でも、この年になりますと、同じものを作るのではなくまったく新しい、たきちの作品だと申し上げれる訪問着を作ってみたい・・・と思うのです。もう一度・・・ということはないと思いますので、正統派の京ものの友禅を・・・と考えています。図案が出来てまいりました。上前には雷神を配するつもりです。わたしは風神をすこし小さい図案にして八掛の部分に配してはどうかな・・・と思ったのですが、そのような奇をてらった構図でなく、風神は後ろ身頃の配置いたします。衿から肩にかけては、風神の衣装が風になびく図案になるとおもいます。右の出袖の図案もできております。柄の大きさ、ぼかしの方式などこれからなのですがおぼろげながらきものの形がみえてまいりました。とてもたのしみにしています。染めあがりましたら再度みなさまにご覧いただきたいとおもっています。

夏・染め帯、山帰来

 

 

山帰来、サルトリイバラのことでございます。(正確には親戚筋でございますが。)5月ころからグリーンの実をつけ、クリスマスのころには赤い実になっています。さわやかな風情があり、夏帯の図案の素材にもよく使われます。もともと漢方薬の材料として知られ、山で具合の悪くなった人が、この根を食べて元気を取り戻し、無事に帰ってきた・・・という意味で、山帰来の名がついたとか。生地は伊と幸さんの羅に近い夏の帯地です。糸目を置き手描きで色を挿しています。応用範囲は広く、単衣にも夏の季節にもお使いいただけます。付け下げから無地、小紋、また紬にも合わせていただけます。地色が実物はすこしベージュがかった白に近い色です。値段が申し上げれないのですが、みなさまびっくりなさるくらい安いはずでございます。

まいにち多くの方にホームページにおこしいただきありがたいことでございます。わたしは年の割には元気なのだろうとおもっていますが、てきぱきとは仕事ができなくなっています。でも、こんなにたきちにお越しいただきますと、腰が伸びて、しゃんとなければ・・・と気持ちがしっかりといたします。感謝とともに、わたしが創作しつつあるような訪問着など、お楽しみいただけますよう頑張ってアップしてまいります。

日本刺繍の世界

この数日、わたしは日本刺繍の職人さんに集中講義を受けていました。この色見本はその折、お借りした400色の色糸の見本です。ある有名なメーカーの刺繍の部分を受け持つメンバーの一人で、いつも忙しい方なのですが、昨日は2時間も時間を取っていただきました。わたしは刺繍についてはまことに不勉強で、染めの補助くらいにしか思っていませんでした。さいきん、帯の柄を刺繍で作らねばならなくなり、あちこちの人に教えてもらいながら手探りしていました。でも、一流の人に教えてもらいますと、目が見えるようになるものですね。繍い上がったものを拝見すると、仕事の質と量のおおよそがわかり、値段もそんなに違わなく見当がつくようになりました。ようやく納得が出来て、帯を3点、きものを3点、それぞれデザインをわたしが提供して、刺繍をしてもらうことを決心しました。今年に入り、すこしは気持ちと時間にゆとりができ、いままで気になりながらできなかったことを一つまた一つと手掛けることができるようになりました。たのしみに1~2か月ごの製品をおまちください。

おしゃれな夏帯

 

 

単衣から夏の季節のための染め帯です。6月、7月、8月、9月の4か月の間、お使いいただけます。合わせるきものは、付け下げや訪問着などの重い礼装のきものを除き、単衣の小紋、単衣の紬、夏の絽の小紋、夏の大島や結城などの織りのきもの・・・と広い範囲でお使いいただけます。麻のきものにもぜひお使いいただきたいと思います。生地は小千谷の紬紗の帯地です。加工は糸目糊に消し炭の濃淡の色を挿しています。糸目や彩色の腕の冴えはもちろんですが、この感性を見てやっていただきたいとおもいます。わたしは見た瞬間に”たきちの品物です・・・”とおもいました。軽やかな見かけですが、仕事は細かい部分まで行き届いた気配りができています。消し炭の濃淡もさりげなく配慮されています。たきちの好みの一品です。値段も染め屋さんも表記できませんが、どうぞおたのしみください。

若草地花詰め小紋

 

 

淡い中間色の色合いを正確にお伝えすることはなかなか難しく、この小紋も最初の写真が近い色合いと思いますが、実物をご覧いただきたいとおもいます。気品と可愛さがあると小紋です。普通の写し友禅ですが、おっとりとした染め味があり、品のいいそめあがりになっています。単衣にもお召しいただきたいさわやかさもあります。値段も申し上げれないのですが、いいセンスの小紋としておたのしみください。掛けて数日見ておりますと、じっくりと穏やかな染め味にあたたかい気持ちを感じます。きものは形だけのものではなく、やはり持味があり、接してたのしく心豊かになるきものもあります。人とおなじですね。

いい加工の小紋

 

 

手の込んだ摺り染めの小紋をおたのしみください。まだこのレベルの染めを提供できるところがあるのです。わたしは中学生のころから家業の手伝いで、学校が終わりましても、自転車でこのような染め屋さんを回って、加工を頼み、染め上がりを受け取って次の工程のところへ届ける仕事の手伝いをしていました。門前の小僧で、いつとはなくいい染屋さんの雰囲気といったものを感じるようになっていました。時代とともに染めの好みにも変遷があり、注文の多くなる染屋さん、少なくなる染め屋さんがあり、貴重な経験をさせていただきました。いい染屋さんはやはり自分の仕事に誇りを持っておられ、一種の格のようなものを持っておられ、わたしたち業者も敬意をもって接するのが当然でした。板場まで入って生地を届けますから、職人の方々の仕事ぶりは常に拝見していました。この小紋の染めも工程から、職人がどのような染め上がりを頭に描いて染めておられるかほぼわかります。まっとうな仕事がしてございます。わたしはこのような職人の仕事をたくさんの方々にお伝えし、ご理解をいただくことがおおきな役目だと思っています。わたしがこのような染めが好きで、なくなってゆくことにけんめいに抵抗しているにすぎないのですが・・・値段も染め屋さんももうしあげれないのですが、わたしと同じくらいの年齢の方ですから、どっぷりと染めの世界に浸かって数十年をすごされたかたです。最近の嘆きは職人の不足です。後継者が育っていないと会うたびに言っておられます。わたしはこのような仕事のきものを必要とされる方はまだまだ多くいらっしゃいますから、染めの文化は生き残ると思っていますが、日々つらい話を聞くことが多いです。