引き箔地、九寸名古屋帯

 

 

わたしが無理にお願いするものですから、先日、引き箔の名古屋帯の在庫を送ってくれました。なるほど微妙に織りに問題があり、傷のない、わたし好みの柄を三点分けていただきました。織機の六通の九寸は今後も織り続けるつもりですが、引き箔地の太鼓柄は打ち切ります・・・といわれています。じっさいに機屋のご主人にすると、キズ物が織れるたびに損害が出るのですから、やむを得ないことなのでしょうが、また世界が狭くなるようでこまったことでございます。きものマニアの方ですとご存知の手織りで有名な帯の工房の九寸の値段を聞きました。わたしが求めることができるような値段ではありませんでした。お求めいただくのが20万を軽く上まわります。生き残るためには致し方ないのかもしれませんが、わたしには参加できませんでした。この帯地は¥79,000、-(別税)でおねがいいたします。最後の写真は箔の織りがよく見えるように・・・とおもって、斜めに写してございます。無地の紋付や飛び柄の小紋、付け下げにもお使いいただける格がございます。紬には避けていただきたいようにおもいます。

かって、長谷川といわれる良品を実用的な値段で発売なさる機屋さんがありました。わたしはこのような姿勢が大好きで、たくさんお客様にお求めいただきました。糸質もよく、柄も洗練されていてお勧めできるとおもいました。でも、経営が成り立つためには、薄利ですからたくさんお求めいただかねばなりません。結局、長谷川さんは倒産なさいました。ひとつの時代が終わったと思います・・・・とブログで申し上げたことを思い出します。いまは、制作そのものができなくなってきています。たぶん価格の問題だけではないように思います。工芸品を身に着けることの価値観そのものが変化しているような気がします。ごく一部の必要とされる方のために生き残るとはおもいますが、多くの方にお求めいただいたような時代はおわるように感じています。

鳥獣戯画・付け下げ

 

 

 

 

このきものが今年の最後の作品になります。二か月ほどで染めあがってまいりました。鳥獣戯画はとても難しいテーマです。粋に流れたり、場合によっては癖のある品の良くない感じになりかねません。この染め屋さんなら、難しいぎりぎりのところをさらりとユーモアを含んで染め上げてくれるのでは・・・と期待してお願いしていました。わたしのイメージ通りに染めてくれました。お茶席にはすこし癖があり、趣味性が強いですから、とてもむずかしいきものだと思っています。京都から届いた翌日、お越しになられたお客様がお気に召され、お求めいただきました。他のものを求めにいらしたのですが、この付け下げをご覧になられ、他のものはお目に入らなかったようです。お茶をはじめ謡や仕舞など多くの趣味をお持ちでございますから、お召しいただく機会はたくさんございますでしょう。お願いしてホームページには出させていただきました。ふつう、いやだと思われる方が多い中で、ありがたいと思っています。創作の楽しさを味わわせていただきました。染め屋さんにも、ひと目でお求めいただいたお客様にも感謝です。

引き箔

 

先日から引き箔の無地の帯地に苦しいでいます。織ってもらえないのです。20万でも30万でも糸目はつけません・・・といえば、手を挙げていただけるところはございますが、わたしが妥当と思える値段ではとても引き受けてはありません。先日、ある買い継ぎの方が、わたしがつらそうにしているものですから、極上ものが1点ありますよ・・・と提供してくれたのが、写真の引き箔無地です。もちろん手織りの機ですし、傷一つないいい織上がりでございます。だいたい、箔の一枚の長さは1尺5寸です。次の箔に切り替える時に段ができやすく、織り手が引き受けるのを敬遠なさるのです。糸錦などの柄が入りますと、段が目立たないので、まだ柄の引き箔は織ってもらえるのです。この箔無地は、刺繍下になさりたい方のご注文なのですが、まだ何人もの方にもご注文いただいているのですが、納めることができるかしら・・・と不安な思いです。でも、まだこのレベルの帯地を必要としていただいているんだ・・・・と思って探し続けるつもりです。一時、中国で生産をしていましたので、わたしは手が出せなかったのですが、(最初は真面目に作るのですが、次第に粗雑になり、ひどい製品になっていくものですから)西陣で作るのでしたら、話し合いができますから、望みがない・・・というわけではありません。たのしい苦しみを味わっています。

銀箔地、六通名古屋帯

 

 

以前に求め置きました名古屋帯です。帯の整理をしていましたら偶然見つけまして、みなさまにご覧いただけます。六通ですので使いやすい帯地です。織機で織っていますが、名古屋帯専業の機屋さんですので、いい糸を使い、やわらかな生地ですから締めていただいては楽だと思います。京都市内では人件費が高いので、郡部で織っておられるのですが、老齢であり、後継者もなく、いつ織れません・・・と言われるかわからない状態です。¥70,000、-(別税)でお願いいたします。

先日から銀の引き箔の無地の帯を織ってくれるところを探していました。半年ほど前までは、手織りで織れますよ・・・と言われていたのですが、昨日も一昨日も何軒も断られています。袋帯なら織ります・・・といわれる機屋さんが一軒だけおいででした。どうして・・・と思うのですが、事情を聞いてみますと、技術はあっても織り手がいない・・・のが実情のようです。箔もあり裁断もできるのですが、織る人がいないのです。下手な人が織りますと段が出てとても帯になりません。帯の職人も、染めの職人も伝統的に人件費は安いのですが、仕事の喜びのほうが優先して、安い報酬は二晩三晩徹夜してでも頑張って補う・・・のが職人の考え方でした。いまでも月収20万に満たない手織りの職人がほとんどでしょう。若い人は、それでは参入してくれません。いまになって困った困った・・・とわたしも含めて途方に暮れているのですが、やはり、仕事に対する評価を上げてまいりませんと後継者は育たないと思います。上に掲載しました帯屋さんも老齢で後継者はありません。名古屋専業の機屋さんは片手で数えれるほどの軒数ですので、ひとり廃業なさると他に注文が分散いたしますから、どのようにお願いしても3か月待ち、4か月待ちになってまいります。大手のすごい糸を使ったひどい織物は毎日きものをお召しになられるベテランのお客様方に通用するはずもありません。小回りを利かせて、まめに足を使って機屋さん巡りをして、一点また一点と求めてゆかなければ品物が無い・・・時代に入ってきました。

付け下げ小紋

 

 

 

さいきん、この染屋さんが試みておられる「付け下げ小紋」をごらんください。付け下げは、脇では柄が合わなくても、上前で柄を必ず合わせます。訪問着はご存知のように上前、脇、背縫い、袖と身頃、衿と上前のすべての部分で柄を合わせます。柄を合わせるためには、下絵も複雑になり、色挿しの時にも、合い口の色を合わせなければなりませんので、とても神経をつかいます。小紋は送りと申しまして、同じ柄、色の繰り返しですから、染める人は気分的にずいぶん楽です。付け下げ小紋はそのような意味で、同じレベルの染めをいたしましてもコストは小紋と付け下げの中間くらいで収まります。ご覧いただいている付け下げ小紋は、上前も柄はあっていませんが、左胸、袖、身頃と付け下げの柄の配置になっております。2~3年前から、小紋でありながら付け下げ風に柄を配置したきものを染めておられましたが、より一層発展させた作品を作られるようになりました。濃紺地に菱取りで友禅を配しています。上前は合い口はありませんが、袖、左胸、身頃と付け下げの柄の配置にいたしてございます。典型的な関東好みの柄でございます。ひとつ注目していただきたいのは、真糊で糸目を置いている点です。最後の写真の白く抜いています井桁の部分は真糊の特徴がよく出ています。わたしの真糊好きを笑われる方もいらっしゃいますが、この味わいはやはり手つくりのぬくもりがあり、ゴム糸目にはない味わいがあります。いまでも真糊で染めるところはめったにないのですが、多分近い将来なくなるであろうとおもいます。どうぞ、真糊の味わいをお楽しみください。値段は申し上げれませんのですが、小紋よりすこし高い値段でございます。

注文いたしておりました染め物はあと1点で終わります。いい腕の職人さんの手で、鳥獣戯画を染めてもらっています。蛙やウサギが生きて染めあがってまいりますかと期待しています。みなさまに楽しんでいただけるとおもっています。

米沢、鈴源のお召し

 

鈴源のお召し一反をご覧ください。鈴源は一昨年、会社がなくなりましたが、米沢では男物のお召し、袴地、男ものの真綿の紬など、良品を作るところとして名を知られていました。写真のお召しは先日の処分のときに見つけました。生地がとてもよかったので求めておきました。明るい爽やかな色目ですから単衣のお茶の時の紋付になさっていただきたいとおもいます。女性のためのお召しですが、男性用くらいの縦込みの多さで、しっかりとした生地です。米沢は、これだけ品質がいいのに、それに見合うデザインの部門が添っていない・・・とわたしは感じています。惜しいことだと思います。実際に機屋さんと会っても、作り方や糸の話がほとんどです。わたしはその方が好きですので楽しい時間を過ごさせていただいていますが、ほんの少し変わってほしいな…と思ってはおります。このお召しは¥61,600、-(別税)でおねがいいたします。

米沢の紬八寸、名古屋帯

 

 

米沢の八寸幅の紬地の名古屋帯です。大島や一般的な紬までお使いいただける普段用の帯地です。でも、大島などにはお出かけの時の帯付きとして、役目を果たせる帯地でございます。手織りか織機か、正確にはわかりませんが、手織りであってもおかしくない複雑な織り込みの帯地です。(西陣の得意とする織り方とはまたすこし違いますので、組織や織り方がわたしにはよくわかりません。)色合いは最後の写真の色が実物に最も近い色でございます。最近は八寸幅の帯が需要が少なくなり、これだけ魅力的な柄と織りの帯であっても、求められないまま倒産するのですから、なにかいびつな形になってきているように感じます。¥39,800、-(別税)でおねがいいたします。