若草地花詰め小紋

 

 

淡い中間色の色合いを正確にお伝えすることはなかなか難しく、この小紋も最初の写真が近い色合いと思いますが、実物をご覧いただきたいとおもいます。気品と可愛さがあると小紋です。普通の写し友禅ですが、おっとりとした染め味があり、品のいいそめあがりになっています。単衣にもお召しいただきたいさわやかさもあります。値段も申し上げれないのですが、いいセンスの小紋としておたのしみください。掛けて数日見ておりますと、じっくりと穏やかな染め味にあたたかい気持ちを感じます。きものは形だけのものではなく、やはり持味があり、接してたのしく心豊かになるきものもあります。人とおなじですね。

いい加工の小紋

 

 

手の込んだ摺り染めの小紋をおたのしみください。まだこのレベルの染めを提供できるところがあるのです。わたしは中学生のころから家業の手伝いで、学校が終わりましても、自転車でこのような染め屋さんを回って、加工を頼み、染め上がりを受け取って次の工程のところへ届ける仕事の手伝いをしていました。門前の小僧で、いつとはなくいい染屋さんの雰囲気といったものを感じるようになっていました。時代とともに染めの好みにも変遷があり、注文の多くなる染屋さん、少なくなる染め屋さんがあり、貴重な経験をさせていただきました。いい染屋さんはやはり自分の仕事に誇りを持っておられ、一種の格のようなものを持っておられ、わたしたち業者も敬意をもって接するのが当然でした。板場まで入って生地を届けますから、職人の方々の仕事ぶりは常に拝見していました。この小紋の染めも工程から、職人がどのような染め上がりを頭に描いて染めておられるかほぼわかります。まっとうな仕事がしてございます。わたしはこのような職人の仕事をたくさんの方々にお伝えし、ご理解をいただくことがおおきな役目だと思っています。わたしがこのような染めが好きで、なくなってゆくことにけんめいに抵抗しているにすぎないのですが・・・値段も染め屋さんももうしあげれないのですが、わたしと同じくらいの年齢の方ですから、どっぷりと染めの世界に浸かって数十年をすごされたかたです。最近の嘆きは職人の不足です。後継者が育っていないと会うたびに言っておられます。わたしはこのような仕事のきものを必要とされる方はまだまだ多くいらっしゃいますから、染めの文化は生き残ると思っていますが、日々つらい話を聞くことが多いです。

風神図の訪問着

 

 

みなさまこのような訪問着はいかがでしょう。とても難しいきものでございます。お召しいただく機会もすくなく、記憶に残る柄でもあり、一度お召しになられますと、おなじ会合には再度お召しになりにくいきものです。ただ、染めとしては”作ってみたい・・・”と思わせるだけの魅力的なテーマです。染めたのは加賀の著名な作家さんです。先日、寸法が合わなくなったので仕立て替えにおあずかりいたしました。ずいぶん以前の作品なのですが、いまも生き生きと染めあがったばかりのような新鮮さを感じました。数日懸けて拝見しているうちに、個人的な好みなのですが、すこしタッチが強すぎないだろうか・・・と感じるようになりました。たぶんわたしの年齢のせいだと思うのですが、このテーマを京都で染めたらどのようになるだろうか・・・とまいにち考えております。この訪問着を染めたところは、わたし存じていまして、いまでも染めてくれるのですが、構図も少し変えて、そめてみたい・・・と考えています。

まいにち、仕立ての柄の裁ち合わせや、色の選定などいくら時間をかけても終わらない仕事を楽しみながらさせていただいています。このようなむずかしい訪問着を染めなくてもいいのに・・・と思いながら、やはり挑戦してみたい・・・とおもっています。

明石ちぢみⅡ

 

 

 

 

明石ちぢみ二柄をごらんください。夏物として織られているのですが、伝統工芸品として認められている昔からの織物です。もっとも織機で織られていますから、越後の苧麻の手織りの上布のグレードとはすこし異なり、量産できる品物です。ほんらい、高級品として作られてきたものではないのですが、いまのきもの業界のなかでは、高級品として位置づけられています。柄はセンスもよく、よそ行きの夏物として多くの方にお使いいただいています。わたしは仕立て上がって10万以内ならば、十分に価値があるとおもいますが、機屋さんはそのような値段はとても対応できないといわれます。でも、わたしは、仕立て上がって10万を超えないきものであるべきだとおもっています。愛用していただくのには妥当な値段ではないでしょうか。

明石ちぢみ

 

 

みなさまはよくご覧になっておられると存じます。デパートや展示会などでは夏物のおしゃれ着として知られたきものです。雪の新潟ならではの織物です。冬物としては吉澤与市のブランドの絞りの紬地などでも有名です。いままで知ってはいたのですが、どうしても直接の取引ができず、扱えないで終わると思っていたのですが、先日直接持ち込まれまして、なんとか値段もおりあいをつけて少し求めました。夏物でもあり、もっと扱うことは考えていませんが、とりあえずご覧いただこうと思います。今日は一反のみですが、写真を撮りもう二点アップさせていただきます。相手が大手の生産者でもあり、流通業者の方との話のようにはまいりませんので、値段は多少甘くなるのですが正確な産地の情報が聞かせてもらえるので、わたしにとっては貴重な存在でもあります。値段は¥85,000、-(別税)でおねがいいたします。ご参考までに、12万以下で売っておられるところはございません・・・といっておられました。展示会にも出品なさるのですが、30万台です・・とのことです。

パレス地、ウオッシャブルの絹の長じゅばん

裾回しの軽めの生地の長じゅばんです。織キズが出来、長じゅばんの柄に染められず、私のところに回ってきました。織キズともうしましても、長じゅばんになさるのに支障はございません。1尺幅と1尺5分幅の二種類ございますが、それぞれ4反づつですので、数はごく少ないです。壺金の長じゅばん生地よりすこし軽めです。精華(パレス)の織り方は、裾回しに使いますから、細い糸で強い撚りをかけて打ち込んで織ります。薄地で強く、サラサラと滑りがいいのが特長です。綸子の長じゅばんの柔らかい、肌に添うような感じがする生地と反対の性格を持っています。たとえば、大島のような薄地のさばきのいいきもの等にはよく添ってくれます。最近の小紋や付け下げなどは、腰のある変わり無地が多く使われていますから、添いはいいとおもいますが、むかしの一越や古浜ちりめんなどには、やわらかなまとわりつくような生地の長じゅばんがよく添うとおもいます。1尺5分の生地は男物の長じゅばんの柄に染める生地だったそうです。8反でございますが¥14,000、-(別税)でおねがいいたします。

今年は正月以来、機屋さんや産地の買い継ぎの方々が何社も新しく飛び込みで見えていました。わたしにとっては貴重なそれぞれの産地の情報源ですのでみなさまの話をじっくりとお聞きします。ある紬の産地の買い継ぎの方の話では、全国の展示会の予定がびっちりと詰まっていまして・・・・と言われ、わたしのような買い取りの方のことはそんなに重点を置いていない・・・とのことです。機屋さん方も、そのような展示会の予定に沿って生産をしていますから、そのようなやりかたで今年も企画が進行しています・・・とのことです。品物だけが委託で日本全国を転がされ、少しづつ消化されてゆく・・・そんな販売形態がことしもつづくようです。個性的な手作りのものは流通に乗りませんからますます売れなくなり、次々に姿を消すようになります。ごく自然なことですね。時の流れでございましょうか。

浜4丈、河藤変わり無地

 

 

わたしは丹後の生まれですので、近江長浜はよくは知りません。ただ、昔から留袖、訪問着などは浜の生地が染め味、着心地、生地の持つ厚みのような味わいが好まれ、最上の生地として評価されてまいりました。丹後のものに比べて少し割高でしたし、いまも高いです。長浜では、この河藤、南久などがトップメーカーといわれてきました。最近、業界通といわれる買い継ぎの方の話として、1社か2社を残して、他は生産を中止なさるのではないか・・・といわれます。生産量が激減していて機屋としての経営が成り立たない状態のようです。丹後もあまり変わらない状態なのですが、長浜はもともと生産量が少なかったですから、月に500反を割り込みますと赤字経営に陥るようです。たぶん最盛期の10分の1以下になっているのだと思います。古浜ちりめんとして知られた太いしぼのおもい風呂敷のようなちりめん生地もまもなく生産されなくなる様子です。また、八掛生地を一緒に織った、4丈ものも織られなくなり、3丈ものしか生産されなくなるといわれます。写真の生地は、ご注文いただき、問い合わせましたら4丈のAB反が4反ありましたので求めたうちの1反です。無地の紋付用に3反ご注文いただいておりますので、1反のみでございます。¥52,000、-(別税)でおねがいいたします。無地の紋付用ばかりでなく訪問着の柄下としてとてもいい生地でございます。

今年に入りまして、ホームページはあまりアップしないつもりでおりました。ご注文いただいたもののみを求めて、としよりらしくつつましく・・・とおもっていましたが、まいにちたくさんの方がホームページにおとずれていただきますと、なんともいえないうれしさがございまして、最低の数ではございましてもご覧いただきたい・・・とおもうようになりました。以前のように魅力を感じた品物はどんどん求めて・・・ということはいたしませんが、古い価値観の呉服屋として、わたしのきものの世界をもうすこしご覧いただきたい・・・と思います。