スクイ、名古屋帯、仕立て上がりⅡ点

 

 

 

年をとりますと自分の体も思うようになりません。この帯たちも早くにアップしてご覧いただかねばならなかったのですが、今日になってしまいました。上の桜の柄はわたしはとても評価しています。織り、柄ともに感じが出ていまして、織機ではこのような表情は出ません。スクイならではの雰囲気を持っているとおもいます。下の横段の柄は、一見、織機のように見えますがスクイで織られています。地がまことさんが得意となさるよろけ縞で、夏物のように思われるかもしれませんが、単衣、袷用の名古屋帯です。お茶席のお稽古用帯としても手織りですから柔らかく締めやすい帯です。この後の入荷はなくなりましたのでこの二点でご愛顧いただきましたスクイも終わらせていただきます。仕立て上がり¥59,000、-(別税)でお願いいたします。

疋田小紋

 

 

縞の柄を染めまして、疋田の柄の部分の型紙を作ってその型のとおり色抜きいたします。職人が疋田の柄を手描きで染めてまいります。この小紋をお求めいただいたお客様が申されるのですが、「ここまで手をかけた染めが必要だとはおもわないけれど、見るとやはり魅力を感じてしまって・・・」おっしゃられるとおりだとおもいます。さりげないおしゃれでございましょうか。わたしどもでもよく見ないと抜染の手描き・・・なんてわかりません。もしこの柄が、これ見よがし・・・の染めですとかえって魅力はないとおもいます。感性の世界でしょうか。心憎い一品です。

手描き小紋

 

9月、10月とお越しになられたお客様のご注文がもっとも多いのが小紋です。次いで、気に入った付け下げがあれば、将来のためにも準備しておきたいので求めておきたい・・・とおっしゃられます。同じくらいご注文いただきますのが染め帯です。帯屋さんに聞きますと、関西では織の名古屋帯のご注文が多いようです。関東は染め名古屋をご希望なさる方が多いようです。この小紋は付け下げを染める職人が手描きをいたしております。染め上がりはうるさ型のわたしが引き込まれるくらいいい腕だと思います。このような小紋が大手の染め屋さんでは作れなくなりました。大手は制作量が多いですから、もっとも売れやすいクラスを中心にものつくりをいたします。この数年、著名な染め屋さんの作品でもわたしがぜひ欲しい・・・と思うものが無くなってきています。作っている染め屋さんに聞きますと、高級品は問屋からの注文が無くなってきましたから、作りましても売れrません。と言われます。お客様の需要があるものを作るより染め屋さんは致し方ないのですから、品質が落ちてくるのもいたしかたないと思います。ご覧いただいているような小紋は大手ではもう作れなくなっています。わたしのような前の時代の生き残りで、価値観を変えられない呉服屋が少数、頑張っているのが実情だと思います。でも、汲めども尽きぬ奥行きのある染めです。

いちい、真糊、手描き染め名古屋

 

久しぶりに店頭にかえってまいりました。9月に入り、古いお客様からはわたしの状態をご承知の上で、このようなもの・・・(お茶の席にとってもっとも日常的に必要な、小紋に帯、付け下げ・・・・など)は目の前ですぐに入用なものなので、なまけて、言い訳ばかりしてないですぐに役に立ちなさい・・・と叱られております。もう退職させていただいたと思っていますので・・・と申し上げるのですが、直接いらっして、染屋に電話しなさい・・・帯地でも、機屋は何というところなら私の欲しいものを織っているのか・・・また、白生地のAB反は機屋にはないのか・・・と真剣に問われます。何十年とご愛顧をいただいてまいりました方々です。一つ一つに機屋さんや染屋さん、買い継ぎとやり取りしていますうちにすっかりお客様のペースに飲み込まれ、9月からもホームページには内緒で、付け下げや小紋や帯をお求めいただいています。開き直ったのではございませんが、同じことならホームページに掲載しようか・・・と思っています。ただ、多くはすでにお客様がお求めになられてものです。御了解を得てアップになりますから、全部をご覧いただくことはできません。永年お目にかかってきた・・・ということの重みと申しましょうか、気心がわかり、ご希望が理解できるということがどれほど大切かしみじみと感じています。いま、どこがどのようなものを作っているのか、メーカーだけではなく、流通からの情報が途絶えますとわたしはなんのお役にもたたないであろうことも承知いたしております。長くはできることでもございません。今年中は、すでに注文で別染めしています加工の完成品やご注文で私が求めたものなど、数は少ないですがごらんいただきたいと思います。ただ、品物のレベルは年々落ちています。とくに帯の機屋さんは軒数も生産の量もとても落ち込みました。袋帯はまだそれほどではないようですが、名古屋帯の良品が並みの値段では手に入りません。手機のものが買えない状態です。

ご覧いただいています染め名古屋は、ひと目見てわたしが感じてしまいましたが、同席しておられた若いお客様が「わたしがいただきます。」と先を越されました。お客様に優先権がございますので、ホームページにアップする許可はいただいたのですが、わたしの商品にはなりませんでした。みなさま長くホームページをご覧いただいていますから、この糊が糊糸目(真糊)だとすぐお判りいただいていますかと思います。真糊は次に同じものを染めましても、同じに上がってくるかどうかわかりません。一期一会の世界です。わたしが傑作が染まっても同じものを作らないのは、その怖さがあるからなのです。この作品もこの世界を表現しているのは、この一点・・・とお考えいただきたいと思います。もっと素晴らしい染め上がりが出来ないとは断言できませんが、責任をもって同じ世界を提供いたします・・・とはもうせません。晴れた日、曇った日、湿度、温度、職人の気持ち・・・全部から影響を受けます。そうですね。生き物だとおもいます。だからこその面白み・・・でもあります。ただいま、誂えの帯地が2点加工途中でございます。染め上がりをホームページじょうでご覧いただけますように、お客様にお願いいたしております。ご覧いただき、何かご参考になれば、とても喜ばしいことと思っています。

風神雷神・訪問着

 

 

 

 

 

半年かかりましたが、ようやく風神雷神の訪問着が完成いたしました。わたしが多くの時間を入院していましたので、染め屋さんにほとんど負担してもらいました。テーマがとても難しいのでわたしは楽でしたが、染め屋さんにはご苦労していただきました。付け下げではなく訪問着ですから、それなりに重い感覚が要求されます。嵐を表現するぼかしもいい味わいで上がりました。上前に風神を配するか雷神を配するか・・・わたしは雷神を選択いたしましたが、風神を上前に置きましても同じように力があると思います。彩色は多くの場合はもっと力強く表現したくて、雷神や風神は目立つ色を使われるのですが、この染屋さんはそれはなさいません。丁寧な仕事で、難しい絵ですが品よく仕上げてもらいました。わたしがあまり力になれなかったのですが、よくできているとおもいます。大きな衣桁を仕舞ってしまっていまして、絵羽の状態で写真を撮れませんでした。お詫びしなければなりません、柄付けは左胸、右袖後ろ、左袖前と嵐を感じさせるグレーの濃淡のぼかしに二神を配しています。わたしの最後の創作品になると思います。風神を上前に配してもう一点作りたい気持ちがございます。着てみようとのご希望がございましたらぜひご注文ください。色挿しもその方のための配色を考えて、ご満足いただけるように努力させていただきます。値段は創作品としては半額・・・と思っていただける価格に設定いたしてございます。まだ会社の形でございますが、わたしの楽しみがほとんどで、経費のみ頂戴いたしております。みなさまにも楽しんでいただければ幸いです。

名門の袋帯三品。

 

 

 

 

 

 

 

いずれ劣らぬ名門の機屋さんの帯地です。トップの機屋さんは山口織物と並んで、唐織では有名な山城さんです。わたしは若いころはこちらに伺って、蔵から昔の図案を出していただき、地色や目色を替えて手織りで織ってもらったりいたしました。なつかしい機屋さんです。真ん中は証紙番号56番の洛陽さんです。すこし高いのですが、織りだしの魅力もあり、多くの方にご支持いただいています。最後は小森さんです。京都の実家から歩いて5分のところなのですが、若いころは格が高すぎて、こんにちは・・・とはうかがえませんでした。こちらは糸錦で織られていますから、唐織りと比べますとすこし生地が重くなります。山城さんはとても安く入りました。¥135,000、-。洛陽さんは¥180,000、-。小森さんは¥150,000、-です。いずれ劣らぬいい帯地でございます。

月に一度のわたしの楽しみ

 

 

 

 

 

 

みなさますでにご存知のように、私は今年中で引退の身でございます。年齢と持病のせいで責任を持った仕事は遠慮申し上げませんと大きなご迷惑をおかけする結果になるかもしれません。もうすでに京都のそれぞれのプロの方々にご紹介も済み、私を欠きましても大きくはご不自由のない状態にさせていただいております。写真は京都の染め屋さんが月に一度、東京に出張の折り、立ち寄ってくれます。その時に、創作を望まれるお客様や、新しい染め上がりなどを見たいお客様方が集まっていただいています。わたしは留守をいたしましても、みなさまお越しになられ、図案から創作なされたり、柄をお好みになられます。わたしも健康でしたら、参加させていただき、入院などで留守の時でもみなさまお集りなさっていただいております。いまはわたしの生き甲斐になりつつございます。お客様はいつにても京都まで染めにいらっしゃられるのですが、東京に居て、新鮮なきものに出会えますので、望まれる方々だけに、お越しいただいています。染め屋さんのご希望で、展示会ではありませんので、お一人かせめてお二人としかお目にかからないことにいたしてございます。本格的な染めの教室の面もございます。デパートの展示会などではわからない一流の職人の仕事を理解していただき、次の世代に伝えていただきたいと願って私が染め屋さんを口説き、望まれるお客様にお集りいただいております。わたしもまだ作品を見たい、求めたい・・・気持ちがございますので、おおきな楽しみでもございます。写真の後の方の三枚は、狂言紋と呼ばれる紋様の染め名古屋です。普通、織りの名古屋帯などでお能をなさる方々がお使いになられる帯なのですが、こちらのお客様が、染めで作りたいと半年ほど前から図案や染め方を詰めて、ようやく姿が見えてまいりました。ふつう、ゴム糸目ですと、地色が染めてある状態ですが、この染めは糊糸目(真糊)で作っておりますので、青花で帯地に直接図案を描いて染めてまいります。つまり、一点づつ創作する作り方になります。図案をなぞるのと違い、筆勢に力があり生きてまいります。この後、柄の部分に糊を置き、地色を染めて、刺繍などの加工を経て完成してまいります。まさに一期一会の帯地でございます。わたしも、参加させていただいている幸せに感謝しながら、勉強をさせていただいています。わたしが注文して創作をお願いしました、風神雷神の訪問着も染めあがってまいりました。近日中にごらんいただきます。