とても珍しい長押です。銘木の半割を使って絞り丸太の床柱と組んでおられます。難しい仕事でしょう。このような茶室の造りは、私たちの一般的な住宅と宮大工の作る千年も持つ寺院の造りとの違いほど私たちの日常とは離れています。大切なことは、このような仕事に触れて、すがすがしい思いとともに、背筋を伸ばして日々を生活しよう・・・・と思えることではないでしょうか。
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絹ばらのゆくえ
グンゼの絹ばらブランドの裏地は全国標準になるくらい多くの呉服屋さんで使われていました。ただいま、それがちょっとした騒ぎになっています。今はグンゼさんはありませんから、子会社に移転して同じものを作っているのですが、どうも製造中止になりそうなのです。代わる裏地は広幅の裏地ではありません。使い比べてみましても、絹ばらは洗い張りをしても、他のメーカーと違い、痩せて帰ってこないのです。中止になる事情はいろいろ聞きますが、根っこに生産性の低下があり、六割くらい値上げしたのですが、それでも製造するメリットがない・・・・とのことです。メーカーに注文が少ないということは、それだけきものの需要が減少している、または中国を含む低い品質の裏地に切り替わっている・・・・のです。わたしも、福井県の他のメーカーの輸出用羽二重を検討したのですが、とても使えません。絹ばらをやっと2か月分だけ確保しましたが、そのあとは、小幅の羽二重を使うようになると思います。関東ではほとんど使いませんが、小幅の羽二重のほうが絹ばらより上質ではあります。ともあれ、とても困った状況になってきています。
帯の手先
写真はあるお客様の綴れの袋帯の前の柄です。左側が手先ですので、右手に手先を持たないと前の柄が出ません。私たちは片腹と呼ぶのですが、左右どちらで手先を持っても柄が出るようには設計されていないのです。変なようですが、つづれではこの柄取りが普通なのです。今でも、つづれを注文いたしますと、祝儀手ですか?不祝儀手ですか?と尋ねる機屋さんがあります。マニアックなことなので、こだわる必要はないのですが、故事来歴の知識としてちょっと面白いお話です。