古浜ちりめんのボカシ訪問着

浜ちりめんの鬼シボ(古浜ちりめんと申しています)の生地にぼかしを染めました。むかし、わたしが京都と東京を往復しながら仕事をいていたころは、職人の意見を聞きながら染め出しをしていました。東京の滞在の時間が多くなりますと、悉皆屋さんにお願いして染め出すのですが、一人抜群の感性の方があり、長くお願いしていました。その方がなくなり、代わる人がみつからず長く作れなかったのですが、先年、わたしよりも優れたかたにお目にかかり、染め出しをしています。ぼかしは一点一点が創作ですので、地色と目色をだいたい指定して、後は指揮する人にぼかし方、色の取り合わせやぼかしの足などを一任いたします。柄を糸目を置いて丹念に手仕事を重ねて染めてゆく方法と違い、染めが生きるかどうかは一瞬できまります。職人と悉皆屋さんの呼吸です。派手さは少ないですが、上品な少し控えめな訪問着です。お茶席や観劇、また、お能の席などにお召しいただきたいと思います。上前や肩にテーマを決めて刺繍をなされ、すこし豪華に演出なさっても素敵なきものになります。(源氏香の模様と草花のとりあわせなど)以前は老練の呉服屋さんたちが好んで色を競って作っておられましたが、最近はほとんど作られていないように聞きます。たきちの自信作です。¥165,000、-(別税)でお願いいたします。