紗袷

 

紗袷(しゃあわせ)は絽の軽い生地に訪問着の柄を描き、上から薄い紗の生地を置いて二枚で一枚のきものにつくります。絽は丹後であったり五泉であったりいたしますが、上の紗の生地は新潟の五泉で織ります。夏物のようにお思いになられるかもしれませんが、単衣のためのおきものです。なんとも贅沢な・・・・というのが実感ですね。それだけにどのような席に着てゆくの?と質問を受けたりいたします。お求めいただいた多くの方は単衣の付け下げや訪問着より優雅で、格も高い感じがします。夏帯を合わせて、素敵なきものになります・・・と話してくださいます。時と場所を得ますと他に代わるもののないほど魅力的な着物だと思います。紗袷は昔から仕立て代が高いきものとしてしられています。絽の訪問着と紗の無地のきものを縫って、合わせてまいりますから、訪問着と無地の二枚分の仕立て代がかかるのです。最近は洗いの技術が進歩して、解いて洗い張り仕立て替えよりも洗いのほうがコストが低いので、紗袷も二枚を合わせて同時に縫う、四つに縫う方式になり、すこしコストが下がりました。この紗袷は、仕立て上がり、税込み¥50,000、‐でお求めいただきたいとおもいます。わたしも自分の年を考え、整理をしてまいらなければなりません。原価の問題ではないのです。

訪問着類はまだ二十点ちかくあるのですが、ちょっとお休みにさせていただきます。あたらしい品物もご覧いただきたいのですが、お預かりして、仕立て替えなどの仕事が山のようにたまっていまして、こちらも夢に出るくらいむずかしい仕事のものがあります。若い時のように一日で十点くらい整理するなんてとても無理ですし、今は一点一点をいいきものにしてゆこうと思いますから、なおさら慎重にもなります。すこしペースを落としてじっくりと仕事をしてゆきたいと思っています。