大澤石雄さんの染める藍染め江戸小紋

藍染めはみなさまいろんな機会にお聞きになられたことと思います。この藍は阿波の佐藤さんの蒅を使っておられますが、灰汁建てともうします、樫やテーチギ、シャリンバイなど堅い木を燃やした灰(アルカリ性)でを発酵を制御する方法で藍を建てておられます。わたしが大澤さんにお目にかかったのは、もう40年ほど前のことです。江戸小紋を藍染めで染める人がいる・・・という人があり、そのようなことは不可能です。いい加減なことを言って・・・としかりつけましたところ、では、自分でごらんなさい・・・と案内されたのが初めてでした。江戸小紋はもち米で作る糊を型紙の上から棒でしごいて柄の部分を防染し、その上から染料を載せて蒸して色を定着させ、水洗いをして完成です。(手捺染と呼ぶ染め方です。)藍染めは、一度や二度では生葉染めのような薄い色にしか染まりません。写真でご覧いただくような深い藍の色は20回以上、藍甕に浸けては乾かす作業を繰り返さないと発色しません。もち米の糊では藍甕に2回くらいが限度で、糊は落ちてしまいます。わたしはやや意地悪な見方で大澤さんにおめにかかりました。結論を申し上げますと、たいへん立派な努力家でした。お話を聞いて膝を打つ思いでした。糊を何十通り試作し、どうしてもうまくゆきません。最後にゴム糸目のための糊を使ってみて初めて成功の道が開けたようです。専門的にすぎますので、この辺で端折りますが、一派を立てるほどの方だな・・・ととても強い印象を受けました。埼玉県三郷の方でございます。