米沢紬、後日譚

先日ホームページでご覧いただいた米沢の紬のその後の話です。アップしました当日の朝、ご注文いただき、お求めいただいたのですが、すぐ後に遠くの方から問い合わせがあり、売却済と申しあげました。夜になって別なお客様からこの紬を・・・と電話をいただきました。みなさまよく存じ上げているお客さまであり、これはお断りすればいい・・・では済まないと思い、昨日織っておられる斎藤さんに依頼いたしました。答えは”織れません”ということでした。手織りの紬と申しますと、みなさま織り手のことを思い浮かばれるかもしれません。実際には、織りは最終工程で、その前の絣の設計や柄の部分の染め、整経など多くの工程があります。そのどの部分が欠けても絣は織れません。わたしは置賜の紬はとても好きで、求めてまいりましたのですが、今は二社のみになったそうです。米沢に限らず、西陣の帯の状況、京都の染めの現場のはなしなど、毎日のように耳に入るのですが、大変つらい状況になっています。まことに残念なことですが、いままで築いてきた技術や感性の世界はいちど滅びの状況に至るのではないか・・・とおもえるほどです。とりとめのないことを書き連ねました。すみません。もうしあげたかったことは、このような文化財にはなれないが、健康なきちっとつくられた中級のきものが需要の減退とともに、なくなろうとしている今のきものの状況です。これは避けることができない方向だと思います。超高級品と粗悪品の二極化がすすむのでしょうか。わたしのような、毎日をきものですごされるお客様の手足である呉服屋にはとてもつらい現実です。