河村綴れさんの手織りつづれ袋帯

 

 

 

昨日、京都から帯の買い継ぎの人が見えていました。その中にこの帯が入っていたのですが、わたしは河村さんの出荷価格を存じ上げていますので、値段も聞かず一見しただけでした。その後、茶飲み話になって、この帯の値段を聞き、その安さにびっくりして、即刻求めました。¥275,000、‐(別税)でお求めください。糸はもちろん綴れの糸ですが、織り手が上手なのでしょう、柔らかく、締め心地はとてもいいと思います。みなさまご覧いただいて、格の高さに、”どのような機会に締めるのだろうか・・・”と考えられると思います。地色は黒でなく、消し炭色でございますが、留袖には色が合いません。色留、訪問着、端正な柄の付け下げ、そしてわたしは色無地にとてもお勧めいたしたいです。前の柄は別腹と申します、名古屋帯の柄付けと同じ、上を向くように作られています。

初釜の無地の紋付などには、引き締まってぴんと張った雰囲気がいたしましょう。豪華なきものではなく、なんの飾りもない無地の紋付がよく生きるように思います。河村さんは中国に出機をお持ちです。それ以来、河村さんのものはすこし敬遠しているのですが、国内にも自家機があり、先日もお茶の先生の刺繍下のための地紋の綴れを特注で織ってもらったりしています。河村さんとしては、中国でも何年もかけて織り手を育て、日本のトップの機屋として、恥ずかしくないものを提供しています。織り手の技術水準は、日本の織子より落ちるということはありません・・・と言われます。でも、わたしは綴れを織っていた家の子です。触れば皮膚感覚で違いがわかります。この機は、わたしには日本の織り手が織ってものだ・・・と感じます。たとえ中国の織り手であったとしても、まったく日本の職人と比べて遜色はありません。今は中国製は明記しなければならないのですが、そのしるしはありません。そのような枝葉のことではなく、ごく上物の手織りの綴れの袋帯として評価してやってください。