菱健の付け下げⅡ

菱健さんのこの雰囲気の付け下げは、図案がたくさんあり、大きくしてもらったり、一部を削ったり、地色をいろいろと変えてもらいながら、二十年ほど染め続けてもらっています。お茶席から祝儀の席まで、あまり華やかでなく上品な控えめな付け下げとして長くお召しいただいてまいりました。柄や地色が自由に変更できますのは手作りだからこその特典です。地色は一番上の左の写真の色がもっとも近いとおもいます。もうすこしきれいな薄いブルーです。お茶席のためのお着物としてお求めいただく方が多かったのですが、一般的に礼装のお着物としてお求めいただく方もいらっしゃいます。広い用途にお使いいただけるかと存じます。小柄なデザインですが、染はきちっとつくられていて、端正な染め上がりになっています。以前は十反くらいは常に染め上がりをお持ちだったのですが、今は受注生産の状態で、地色と柄を指定して染めてもらわなければならない状況です。ほんらいそれが当たり前なのですが、次第に窮屈になってまいりました。¥170,000、-(別税)でおねがいいたします。

小紋の優れものを探しているのですがなかなか見つけることができません。いろんな方にたずねてみますと、どうやら買い取りをする人が極端にすくなくなったことににも大きな原因があるように思えます。大量に商品は動くのですが、展示会のための委託販売が圧倒的に多いようです。貸し出すほうは点数だけそろえればいいじゃないか・・・と低コストの商品構成が中心にならざるをえない・・・悪い連鎖に陥ってしまっているようです。もっとも、一反づつ手作りの小紋はコストはあまりあがっていません。やはり、自分が感動できないような商品はどなたにとっても魅力はないのだとおもいます。わたしたちの問題なのですが、このおおきな構造上の問題はとてもすぐに解決することはできないのだろうと思えます。わたしは、ものつくりから出発していますので、どうしても生産者の立場からみてしまいます。今の方向の先には大量生産をして、機構で販売するのにふさわしいきものしか作れなくなるのは明らかだとおもいます。老人の繰り言ですね。