小千谷、綿麻紅梅

小千谷は雪深い土地で、越後湯沢から車で30分くらいの距離ですが冬に訪れますと一面真っ白の雪景色です。町の中心部は雁木で歩道が守られていて、私のふるさとの丹後地方よりはるかに積雪量が多いことがなっとくできます。他の産地の買い継ぎの方は、小千谷は織物の価格がもっとも安定した、採算に乗る産地です・・・・といわれます。わたしは小千谷の織物はとても好きで、素材や織りを拝見しても、高い・・・とは思えないのですが、大量生産ができない作り方ですから割高な面もあるとはおもいます。結城が数年前に世界文化遺産に指定されましたが、小千谷はその数年前にすでに世界文化遺産に登録されています。あまり知られていないのですが、じっくりとした本物を作り続けてこられたいい産地だとおもいます。先日、買い継ぎの方に、重文の苧麻の織物を触らせてもらったのですが、苧麻の糸はやはり割いて細くしてゆくのですが、製糸ではできない細い糸を使っておられます。むかし、苧麻か楮の繊維しか衣料の原料がなかった時代、一家の主婦が苧麻の糸を摂るのですが、一冬に2反分、よほど慣れた人で3反分だったそうです。娘の手を借りて、家族の苧麻のきものがやっと一枚づつ賄えるくらいですね。重文は紡績で作る糸を使っては条件を満たしませんが、その糸をみなさまいちど触っていただきたいと思います。感動なさるとおもいます。

写真のきものは麻と綿の交織で、補強にすこし太めの糸を縦横に間隔を開けて織った紅梅と呼ばれる生地に藍染めで小紋を染めています。今年は淡い色が多く、藍の染めの柄はこの一反のみでした。¥45,000、-(別税)でおねがいいたします。