ローケツ染め名古屋帯

先日、京都の染屋さんが上京の途中、立ち寄ってくれました。わたしが最も信頼している染屋さんです。拝見した中にこのローケツの名古屋帯がございました。職人の方がこのような難しい染めはもうごめんだ・・・ということで、一点のみのものです。と断られていたのですが、昨日あるお客様にご覧いただいたところ、お気に召したのですが、地紋のない塩瀬の生地で染めてほしい・・・とのことで、強引にもう一点染めてもらうよう頼みこみました。この作品は一点のみの約束だったのですが、そのようなわけで二点作ることになりました。白大島に合わせてのご注文なのですが、わたしは泥の単色の大島、単色の結城、無地っぽい紬など多くの紬のおきものに合うと思います。値段や染屋さんは表記しない約束ですので、書けませんが、真糊をおいた友禅のものよりも安いです。楽しんでいただければ…と思ってアップいたしました。また、わたし好みの小紋、真糊のさりげない付け下げの優れモノなどちかじかご覧いただけると思っています。どうぞお楽しみに。

さいきんお越しいただく方々のお話をうかがっていて、不思議な感慨をおぼえます。わたしの考え方ではこれからの呉服業界の中では生き残れないのは自身よく承知しています。自分の生きてきた方向の中で滅びることは不足に思うことはありません。ただ、見る目をもっておられ、いいものを安く・・・とご希望の方もたくさんいらっしゃられることは、驚きでした。生産の現場はおそらく今後急角度でものつくりが出来なくなると思います。染めの現場も織の現場も70歳代のかたが主力なのですから、おそらく数年で作れる数はもっと減ると思います。コンピューターを使った、職人を必要としない染め物、織物が今以上に多くなるでしょう。それはごく自然なことだともおもいます。その時代に沿ったきものがつくられることでしょう。変化に適応できない人は去らねばなりません。