大鳳機業さんの生地二点

大鳳さんの機は評価していただける品物です。無地も含めていろんな白生地を織っておられます。染め屋さんでも評価が高いです。上の白生地は紋意匠のように織られていますが、緞子の織り方です。平凡な地紋ですが、染め上がりがよく気品のあるきものになると思います。下の生地は緞子の無地です。すこし梨の肌のような地紋があり、梨地と呼んでいます。この生地は菱健さんなどで小紋を染めてもらうときに使ったりしてみましたが、上品な艶があり、やわらかく体になじむ雰囲気で、独特の世界です。わたしは無地の紋付になさっていただきたいおもっています。最近は腰の強い直線的なきものに出来上がる生地が多いと思いますが、この緞子の機は逆に細い糸で繊細な織上がりです。きものになりましても、ちりめんの感覚でやわらかく曲線的です。お好みですので選択をなさるお客様しだいなのですが、いまの傾向にご満足でないかたがおいででしたらこの緞子の機はお気に召すのではないかと思います。かくれた優れものと申し上げれます。機屋さんはそれぞれの信念で織っておられます。それぞれの特長があります。浜ちりめんには浜独特の世界があり、五泉の織物には五泉でなければ出せない味わいがあります。お客様で無地の紋付は職業上数多くおつくりになられる方々がいらっしゃいます。着心地や着映え、傷み方など貴重なご意見をうかがっています。単衣に向く生地、引き染めでないと生きない生地、産地も浜や五泉、丹後と試みてまいりました。無地のきものは単純なようですが、難しいものでもあります。この緞子は膝行をなさるお茶席にはあまり向きません。細糸で平を使いますので毛羽たちが起きやすく、艶が変わります。どちらかともうしますと立席には優美なきものになると思います。二反とも¥25,000、-(別税)でお願いいたします。