加工途中の訪問着

 

 

まだきものになっていない状態ですが、加工の途中をご覧いただきたいと思ってアップいたします。一番目の写真が上前です。地色は右の端にすこし見えています金茶です。半身は無地で半身に柄がございます。デザインそのものは、寛文小袖を写したような大胆な柄取りです。寛文小袖は将軍秀忠の娘、和子さまが天皇家に嫁がれ、京都の雁金屋に注文して好みの小袖をおつくりになられ、京都の富裕層に圧倒的に支持されて京都から江戸を席巻したデザインを総称してなずけられています。元禄期にいまのきものが完成して、以後今日に至っているのですが、現代のきものにまで寛文小袖がおおきな影響を与えています。雁金屋さんのデザインは今も残されていまして、非対称の美ともうしますか、日本の美意識の根幹をなすものとしてとても評価が高いものです。雁金屋さんの次男が尾形光琳で、三男が陶芸家として知られる尾形乾山です。とうぜん光琳もこのような小袖のデザインにかかわっていたであろうと想像されるのですが、まだ十代であったのですから中心の役目ではなかったのでは・・・と想像しています。写真にもどって、このきものはいま、糊伏せが終わり、地色とぼかしの加工が終わり、これから彩色にはいるところです。この状態で、お客様がご満足か、これからの色挿しをどのようにするか・・・染め屋さんが上京の折り、たきちでお客様と打ち合わせしていただきました。なんどもお客様と会っているうちに、ご希望が理解できてまいります。色を挿した後、定着させ糸目糊を落とし、刺繍や金加工をして完成です。やく半年の工程です。染めあがりましたらもういちどご覧いただけるとおもっています。ホームページにアップすることを快くご承諾いただけました。感謝申し上げています。