引き箔

 

先日から引き箔の無地の帯地に苦しいでいます。織ってもらえないのです。20万でも30万でも糸目はつけません・・・といえば、手を挙げていただけるところはございますが、わたしが妥当と思える値段ではとても引き受けてはありません。先日、ある買い継ぎの方が、わたしがつらそうにしているものですから、極上ものが1点ありますよ・・・と提供してくれたのが、写真の引き箔無地です。もちろん手織りの機ですし、傷一つないいい織上がりでございます。だいたい、箔の一枚の長さは1尺5寸です。次の箔に切り替える時に段ができやすく、織り手が引き受けるのを敬遠なさるのです。糸錦などの柄が入りますと、段が目立たないので、まだ柄の引き箔は織ってもらえるのです。この箔無地は、刺繍下になさりたい方のご注文なのですが、まだ何人もの方にもご注文いただいているのですが、納めることができるかしら・・・と不安な思いです。でも、まだこのレベルの帯地を必要としていただいているんだ・・・・と思って探し続けるつもりです。一時、中国で生産をしていましたので、わたしは手が出せなかったのですが、(最初は真面目に作るのですが、次第に粗雑になり、ひどい製品になっていくものですから)西陣で作るのでしたら、話し合いができますから、望みがない・・・というわけではありません。たのしい苦しみを味わっています。