泰生さん、澤瀉がら名古屋帯

 

 

泰生さんの名古屋帯です。泰生さんは〆切をお願いしてから依頼の帯地です。この柄も〆切りにできたらなお一層すばらしい帯になると思うのですが、予算を大幅にこえますので断念せざるをえません。ごらんいただいてやはり泰生さんの重厚な織に安心と申しますか、信頼を置けると感じられる方が多いと思います。いま、わたしには〆切りを作る力がありません。すこしの値段の違いでしたら頑張って発注するのですが、三割も違うとあきらめざるをえません。また、引き箔の帯地も、発注そのものを断られます。技術的にキズが出すぎて、織ることに踏み切れません・・・というのが現実です。ではなぜ以前はキズもなく引き箔が織れたのか・・・なのですが、もうその言葉は禁句です。口に出しても解決のためには何の役にも立たないのです。職人の質を論じるのは簡単です。でも、織り賃はいくら出しているのでしょうか?また、仕事に見合った正当な価格で売られているのか・・・・も同じレベルで考えあわせなければ全体の姿はみえてきません。ともあれ、このような高度な染色の文化は身に着けて表現していただく方々の感性が衰えたときには退化し滅びます。業界が伝統の上に胡坐をかいて、努力を怠ったことも大きな一つの原因でしょう。とりあえず、この帯地は¥98,000、-(別税)でお願いいたします。