手描き小紋

 

9月、10月とお越しになられたお客様のご注文がもっとも多いのが小紋です。次いで、気に入った付け下げがあれば、将来のためにも準備しておきたいので求めておきたい・・・とおっしゃられます。同じくらいご注文いただきますのが染め帯です。帯屋さんに聞きますと、関西では織の名古屋帯のご注文が多いようです。関東は染め名古屋をご希望なさる方が多いようです。この小紋は付け下げを染める職人が手描きをいたしております。染め上がりはうるさ型のわたしが引き込まれるくらいいい腕だと思います。このような小紋が大手の染め屋さんでは作れなくなりました。大手は制作量が多いですから、もっとも売れやすいクラスを中心にものつくりをいたします。この数年、著名な染め屋さんの作品でもわたしがぜひ欲しい・・・と思うものが無くなってきています。作っている染め屋さんに聞きますと、高級品は問屋からの注文が無くなってきましたから、作りましても売れrません。と言われます。お客様の需要があるものを作るより染め屋さんは致し方ないのですから、品質が落ちてくるのもいたしかたないと思います。ご覧いただいているような小紋は大手ではもう作れなくなっています。わたしのような前の時代の生き残りで、価値観を変えられない呉服屋が少数、頑張っているのが実情だと思います。でも、汲めども尽きぬ奥行きのある染めです。