格子大島

 

ただいまも生産しております格子柄の大島です。普段のきものとして黄八丈とともに一世を風靡した反物ですが、普段にお召しになられる方が少なくなって、いまは細々としか生産されていません。わたしは、この反物をよく雨コートにお勧めしてまいりました。雨に当たりましても大島の生地は縮むことがございません。生地も薄地で軽く、雨コートとしてはとても適していると思います。それも、ツーピース(上は単衣のコート、下は裾除けの形に仕立てて、楽にハンドバッグに入ります。)に作り、ガード加工をいたしますと、単衣の普段のコートと雨コートの二役を兼ねます。一反の在庫の残り物ですが上手にご利用いただければありがたいことです。¥19,000、-(別税)でおねがいいたします。

ひと月ほどお休みをいただいていました。体調も今一つだったのですが、わたしは趣味としてむかしから読書がございまして、とくに仏教についてはとても関心がありました。私たちの年代の常として、親鸞から入り、やがて禅に興味を持つようになり、座禅に傾倒しました。それが最近は初期の仏教、お釈迦様の説かれた内容になんとも懐かしく温かくこころ落ち着く思いがあり、しばらくの時間はまっていました。最近は多くの学者の方々の地道な研究で、お釈迦様の悟りから布教にいたる歩みがほぼ解明できているかと思います。だからといって、お釈迦さまの悟りの内容がわたしにわかるわけではないのですが、鉄の生産がきっかけとなって、農業の生産が爆発的に拡大し、社会が大きく変化する時代に革命的な思想として仏教が出現したことは素晴らしいことだったと思っています。現代と重ねてみても2500年以前のお釈迦様の言葉は実に核心を突いていると思います。梅原猛さんが仏教を救世の思想とおっしゃられたのも腑に落ちるとおもっています。最晩年に原始仏教に回帰するとはおもっていませんでしたが、なにか温かな気持ちになれる読書でした。