田村哲彦、色留袖

写真は田村哲彦の色留袖の上前の一部です。さすがに糸目から彩色まで一流の名に恥じないいい染めだと思います。この作品は直接求めたものではなく、市中から安くで求めた商品でした。それでも当時の相場からあまり安くはなりませんでした。それだけこのブランドはもてはやされていました。先日、ぼかしを求めましたところも、付け下げや訪問着を持っているのですがちょっと値段を聞いて、話を中断いたしました。わたしの考える値段とは大きく開いていました。でも、いい作品が無い、あるいは在っても大変な高い値段の時代ですから、安く売る必要もないことです。そのような時代になったのだと実感いたします。

わたしの仏教探索など退屈なさるのでは・・・とおもいながら今日もすこし聞いていただければ幸いです。お釈迦様の生きられた2500年まえのインドは鉄の生産が増え、それに伴い農作物の生産量が大きくなり、貯蓄が出来る時代に入っていました。貯蓄ができるということは、力のある人は富を蓄え、貧富の差がうまれ、それにともなって身分の分化も進んだ時代でもありました。都市が発達し部族社会から国家の形態に変わりつつありました。一面、経済の大きな発展は労働に従事しない階級を生み、インド哲学はこのころ花開いた・・・と言えると思います。そのような時代を背景としてお釈迦様はどの宗教とも異なる主張を展開なされ、多くの人々を感化なさいました。当時のインドの思想をすこし見てゆきたいとおもいます。