縁起Ⅲ

5、六処によって触が生じる。六つの認識器官が個別具体的な対象(色・声・香・味・触・法)に接触する。

6、触によって受が生じる。接触した認識対象が容受され、仮構された主体にとって、諸事物の集積としての世界が「在り在り」と存在することが認知される。

7、受によって愛が生じる。「在り在り」と存在すると感受された諸事物に対し愛著が生じる。

8、愛によって取が生じる。愛著はやがて取、すなわち諸事象への盲目的な執着へと変わる。

9、取によって有が生じる。自己を含む世界への執着から、いま自己がここに存在しているという感覚やずっと存在しなければならないという確信がうまれる。

10、有によって生が生じる。「在り在り」とした自己の実存感は、あくなき生存への欲望、永生への冀求を起動する。

11、生によって老死が生じる。永生への欲求は老死への恐怖、不安、老死の苦を生じさせる。そこから憂い、悲しみ、苦患、失意、懊悩のあらゆる苦が派生する。

以上が宮崎哲弥さんが、ラフスケッチですが・・・とことわられて解説なさった十二支縁起です。とても分かりやすく解説していただいているとおもいます。おしゃかさまがご自身経験なさったご自分の心の動きをじっとみつめていろいろな角度から観察、分析をなさって、悩み、苦しみの根源に迫ろうと内省の日々を持たれたのであろうとおもいます。真正面から向き合われたのですから、とても勇気のある方ですね。では、おしゃかさまはどのようにして苦を克服なさったのでしょうか。