夏、単衣のための生地に染める。

 

 

 

この生地も近江長浜の産地が開発した夏、単衣のための生地に染めた小紋です。5月に入りますと多くの方が単衣をお召しになられるような時代になりつつあります。温暖化の影響でしょうか単衣をお召しになられる期間が長くなりました。じっさいに、あせばむ・・・といった穏やかな表現でなく、5月でも夏の感じの日が多くなってきています。麻を混紡した生地は着心地はよろしいのですが、麻そのものが難染性があり、絹と混紡いたしますと友禅を染めることが難しいので、小紋などには染めれません。無地のきものが主な用途になります。この機は河藤さんの開発ですが、やや単衣に向いているかな・・・と感じますが、撚糸が強く、夏にもじゅうぶんにお召しいただけます。この小紋もお客様にお求めいただいたものをお借りしてご覧いただいています。わたしが年を取り、情報の収集が若い時のようにはまいりません。お客様の方がよくご存じで教えていただくことが多くなっています。近江地方は昔から絹の産地といたしましてはとても優れた糸を産出しています。私どもでお求めなさるお客様でも、特殊な紬糸の生地に染めたものをお求めになっていますが、わたしが拝見しても魅力的な生地を作っています。丹後にも頑張ってもらいたいと思っています。

世界中がコロナウイルスに席巻され、私などは弱者の最先端の立場ですので一日も早く収束してもらいたいと祈る気持ちの毎日です。このような日々にぜいたくな新作をご覧いただくことに私自身、違和感を感じないでいるわけではございません。でも、気持ちが内向きになり、コロナに気持ちの上で飲み込まれてしまってもまた意味のないこと・・・・とも思います。少しでもご気分が晴れて、コロナが一段落したらそんな小紋で単衣を作ってみようかな・・・と思っていただければ嬉しい限りです。