米沢のお召し、見切ります。

 

 

先日来、京都の新しい仕立て屋さんと話し合いをいたしておりました。わたしは三社に仕立てをお願いいたしているのですが、それぞれに特徴があり、大手で安くはないのですが、いくらでも仕事いたします・・・というところ、中堅規模で京都市内の腕の利く人を集めているところ、そして、個人に近い形態で、腕のいい職人を持っているところなどです。わたしは腕のいい個人に近い形態のところが魅力的だったのですが、私が80を過ぎ、きちっと管理ができにくくなっていまして、八掛の生地は指示に従わなかったり、縫子の手にばらつきがあったり・・・と問題が起きまして、いい仕立て屋さんをもう一社探していました。先日二点仕立てが上がってまいりまして、とてもいい仕立てで、いまのところ気に入っております。ただ、みなさまにお納めする値段でわたしのところに届きますので、もうしばらく様子を見て、この仕立てをご希望なさる方がございましたら、わずかで結構ですので、値段のご協力をお願いしなければなりません。仕立てはとても大切で、おろそかには出来ないのですが、わたしが若いころのような質の職人は最近は望んでも得られません。地熨斗の考え方ひとつとっても違います。だいたい、地熨斗をしてから一日二日くらいは置いておきませんと仕立て上がってから袋が入ります。呉服屋直属の仕立てですと、よく話し合いますと納得してくれるのですが、会社を経由しますと、職人はなかなかいうことを聞かないものです。致し方ないのですが、わたしは苦労しても昔の人と人との関係で成り立つ職人の仕事が懐かしい思いでいます。

さて、写真の米沢のお召しですが、左の白生地がございます。この機屋さんは廃業なさるのですが、このお召しの機は、知る人ぞ知る名品だと思います。お好みの色に染めて第一装の紋付になります。袴下にお使いいただきたいと思います。2反ございまして¥52,000、-(別税)でお願いいたします。右のお召しはキズがございます。¥36,000、-(別税)でお願いいたします。