逸品の小紋。

 

ようやく染めあがってまいりました小紋をご覧ください。江戸小紋の雪輪の柄に雪輪の形を抜染(色抜きのことです)いたしました。雪輪の形の型を彫り、色抜きいたしますが、白く抜いたところに色を挿します。雪輪の全体を色抜きをして、中の部分全部にに手描きで柄を描いたりも致します。コストの問題より好みの問題でございます。グレー地の雪輪の小紋にくすんだ黄色の雪輪の柄を飛ばす・・・心憎い瀟洒な小紋にあがりました。地色、柄などどのようにも作らせていただきます。

昨日、ある商社から金融処分品の展示を月曜日に行います・・・と連絡をいただきました。最近では北尾の倒産以降はじめてです。すこしくわしい話を聞いて、参加する旨返事をいたしましたのですが、お医者さんと相談しましたところ、もしコロナに感染したら、私の場合は、次回から気を付けます・・・という状況にはならないと承知で、お出かけなさい・・・と言われました。日常の買い物も介護の方にお願いしているような状況ですので悩みましたが、今回は断念することにいたしました。私のところまで送ってきてくれればいいのですが、五百数十点の袋帯は入札方式で処分するのがもっとも合理的です。自分の置かれた立場を感じました。わたしのような老人ではなく、若い人たちはそのレベルの機屋の帯地が金融で出れば、即刻、一日か二日で処分できるでしょう・・・と訊ねましたところ、多くの買い手が今回はパスします・・・と言われるそうです。丹後の機屋さんから京都の染屋さん、また、帯地の機屋さんなどの話を聞いているのですが、こんにちの業界の雰囲気をよく伝えている話だとおもいました。わたしは業界の中でも、展示会を中心に営業しているところは相当落ち込むであろうと考えていますが、帯地でも爪つづれの誂えなどはほとんど影響を受けていませんし、誂えの染めの分野でも、めちゃくちゃな値段で販売しているところは落ち込みが厳しいですが、地方の堅実な経営のところはそんなに落ち込んでいないように聞きます。やはり、買い継ぎの情報がもっとも実情に近いように思います。でも、業界全体としては、今年が終わって来年の様子次第・・・・・とおもえますので、まだまだ見通せないと考えています。80歳を超えてまだこのような生臭い話をいたしますのですから、じぶんながら度し難い老人だと思っています。