菱健、付け下げⅢ

菱健の付け下げの中でも、この図案は一部をとったり、柄をすこし大きくしたりしながら、染めてまいりました柄です。今回は、けがの功名と申しますか、違う地色をお願いしたのですが、染め上がりはこのアイボリーでした。しかし、とてもいい色でしたので注文とは違うのですが、引き取りました。江戸時代は「四十八茶百鼠」といわれたくらい茶色と鼠色は大流行したのだそうです。もっとも、これには歌舞伎の役者さんの愛用の色が大きく影響したようですが(梅幸茶、芝翫茶、路考茶など)鼠色はもう少し違う角度から考えたほうがいいようにおもいます。江戸時代はたびたび奢侈禁止令がでました。消費の過熱を防ぎ、財政の放漫を引き締めたい政府の施策なのでしょうが、男性が羽織の裏地に凝ったり、女性も地色は抑えながら染そのものに凝る・・・ような風潮が起こったようです。その表れとして、ネズは流行した面があると思います。現在、わたしの周囲でも茶はあまり用いられませんが、ネズ(グレー)は多くの方が好まれ、究極の色・・・として好まれています。この着物は地色を正確にお伝えできなければだめだとおもうのですが、それが大変です。上の写真の左側が近いとおもいます。明るいアイボリーをご想像いただきたいと思います。品のいい付け下げです。加工は菱健さんですから、糸目、彩色ともに評価していただける加工です。生地は染め上がりのいい丹後の重めの無地意匠です。控えめな優れものの付け下げとしてお召しください。¥170,000(別税)でお願いいたします。

菱健の付け下げⅡ

菱健さんのこの雰囲気の付け下げは、図案がたくさんあり、大きくしてもらったり、一部を削ったり、地色をいろいろと変えてもらいながら、二十年ほど染め続けてもらっています。お茶席から祝儀の席まで、あまり華やかでなく上品な控えめな付け下げとして長くお召しいただいてまいりました。柄や地色が自由に変更できますのは手作りだからこその特典です。地色は一番上の左の写真の色がもっとも近いとおもいます。もうすこしきれいな薄いブルーです。お茶席のためのお着物としてお求めいただく方が多かったのですが、一般的に礼装のお着物としてお求めいただく方もいらっしゃいます。広い用途にお使いいただけるかと存じます。小柄なデザインですが、染はきちっとつくられていて、端正な染め上がりになっています。以前は十反くらいは常に染め上がりをお持ちだったのですが、今は受注生産の状態で、地色と柄を指定して染めてもらわなければならない状況です。ほんらいそれが当たり前なのですが、次第に窮屈になってまいりました。¥170,000、-(別税)でおねがいいたします。

小紋の優れものを探しているのですがなかなか見つけることができません。いろんな方にたずねてみますと、どうやら買い取りをする人が極端にすくなくなったことににも大きな原因があるように思えます。大量に商品は動くのですが、展示会のための委託販売が圧倒的に多いようです。貸し出すほうは点数だけそろえればいいじゃないか・・・と低コストの商品構成が中心にならざるをえない・・・悪い連鎖に陥ってしまっているようです。もっとも、一反づつ手作りの小紋はコストはあまりあがっていません。やはり、自分が感動できないような商品はどなたにとっても魅力はないのだとおもいます。わたしたちの問題なのですが、このおおきな構造上の問題はとてもすぐに解決することはできないのだろうと思えます。わたしは、ものつくりから出発していますので、どうしても生産者の立場からみてしまいます。今の方向の先には大量生産をして、機構で販売するのにふさわしいきものしか作れなくなるのは明らかだとおもいます。老人の繰り言ですね。

菱健の付け下げ

菱健さんが東京に出かけてくれていましたのでお目にかかってまいりました。秋口から付け下げの染を依頼していたのですが、なにかと事情があり、遅れていました。全部ではないのですが三反のみ染め上がりました。あとは12月になるとのことで、困った状況ではございます。そのうちの一反をご覧ください。この染が菱健さん・・・と呼べる本来の菱健さんらしい宝石をちりばめたような色彩感覚の世界です。手描き友禅の華やかさと気品を兼ね備えていると思います。地色は写真より薄い淡い藤色です。糸目、色挿しともにいい手です。祝儀のどのような席にお召しいただいても十分に引き立つ柄ですし染です。代表的な京友禅の付け下げとしてお召しください。¥180,000、-(別税)でお願いいたします。

糸目

糸目は、地と柄の部分の境目に防染のために置く糊のことを申します。漏斗状の紙筒にゴム糊をいれて、搾りながら細い線で輪郭を描いてまいります。二枚の写真をご覧いただきますと、左右ともに手描きの友禅なのですが、右の友禅のほうが立体的で、輪郭がぱっちりとしています。きものにとっての糸目は大工さんのノコギリ、あるいは鉋に相当するでしょうか、美しい鉋跡が家の出来映えを左右するように、糸目もとても大切なきものの要素です。普通の型紙をつかった友禅はこの糸目も必要がありません。糸目で防染するものは、手で色を挿す手描き友禅の世界だけです。みなさまデパートなどできものをご覧いただくときに、どうぞ糸目の冴えも選択の一つの基準にお考え下さい。糸目が素晴らしいきものは色挿しも同じレベルの職人の手になります。図案、糸目、糊、地色の引き染め、彩色、蒸し、水洗、仕上げの金加工、刺繍とすべての工程のうち、一つの工程でも手が落ちますと、かならず出来上がりは落ちてしまいます。ちなみに値段は左の写真のきものを10としますと右の着物は20あるいは25が限度で、それ以上はわたしですと求めません。でも、実物を手に取っていただかないとなかなかわかりにくいことでもございます。どうもわたしが一目でわかる写真を提供もしないで、勝手なことを申し上げているのではないのだろうか・・・とおもっています。呉服屋の独り言にお付き合いいただいたようで、申し訳ございません。

誂えの染め帯

この帯はお客さまの誂えの染め帯ですから、商品のようにこのコーナーではご覧いただけないのですが、お願いしましたところ快くご承知いただけました。このお客様は大阪在住で、わたしが老齢でとても御用が勤まりませんので、染め屋さんに事情を話して直接いらしていただいています。とても目の見える方で、染め屋さんも教えられるところがあります・・・と言われ、例外として認めてもらっています。みなさまにご覧いただきたいのは、糸目と彩色です。一月の松から右へ桜、桃の花、桜の花・・・と十二の月の花を描いてあるのですが、糸目の細さ、正確さ、さらにその糸目のなかに彩色する芸の細かさ、まことに見事なものです。この加工を着物にいたしますと重すぎてちょっと息がつまります。もうすこし大振りのほうが拝見していてホッとします。帯は小さな部分でしっかりと見てもらえる加工が必要ですので、とても濃密な加工をいたします。まだこのレベルの染めができる職人がおられるのです。このレベルは京都でもトップの人たちです。まだ一世代くらいは継続できるのでは・・・とおもっています。このような記事は旦那のブログで独り言として聞いていただくのが筋なのですが、旦那のブログに訪れていただく方が少ないので、このコーナーを使わせていただきました。

染め帯・うつぎ

塩瀬の染め帯、うつぎでございます。地色がアイボリーのすこし濃いめの色ですが、写真ではなかなか表現できない微妙な色です。多くのきものに合いやすい地色でございましょう。この職人の手になる帯は、わたしはいつもながら見とれるほど好きなタッチで、満点星つつじも傑作だったと思います。値段はたきちまでお問合せください。みなさま意外と思われる値段でお求めいただけます。

先日、京都で染め屋さんや機屋さんを回ってみたのでですが、数年前とあまりの変わりように、ちょっと考え込んでしまいました。どちらさまも出来上がった製品が極端に少ないのです。一方、プリントのきものはどこもあふれるほどの在庫量でした。帯も、大量生産する機屋さんは在庫が多いようですが、手機の機屋さんはほとんど在庫がありません。買い継ぎの方に聞いても、三本ある在庫を、色柄がもう一つ・・・と言っている間に、他の人が求めていかれる状態です・・・といわれるほど生産が少ないのです。手織りの職人が老齢で引退した後を継ぐ職人がいないことが大きな原因でもあるようです。買い継ぎの方でも、注文して作らなければ物が確保できません・・・と言われます。たきちも小さい規模ながら注文してものつくりをしています。とても難しい時代になってまいりました。

こもん・雪だるま

楽しい小紋をご覧ください。地紋も雪が降っているのを想像させるような雰囲気です。どなたかに着ていただきたい・・・と思いました。染め加工は一流です。これからクリスマスの時期、さらに二月ころの雪の降る時期まで、短い期間ですが、周りの人を楽しませ、微笑が湧くような着物になると思います。先日、デパート特選でも出品されていますので、値段はこのページでははばかられます。どうぞたきちまでお訊ねください。