都さんの八寸絽つづれ

都さんは証紙番号385、昔から八寸の名品を作ってこられた機屋さんです。もう30年も以前から、中国で職人を養成し、本格的なつづれを織っておられます。河村さんと並んで中国で腰の入ったきちっとした仕事をなさっておられます。丸帯までスクイで制作しておられ、日本ではもうこれだけのものは織れないでしょう・・・と自慢されたたことがあります。この証紙には中国製とは書いてありませんが、間違いなく中国です。また、日本で絽つづれの八寸を織っているところは石川さんしかありません。河村さんが昨年までは織っておられましたが、今年は生産ゼロです。もっとも都さんは日本でスクイの八寸は作っておられますから、わたしたち業者がきちっと区分けしていなければなりません。証紙には櫛織りと書いてあります。日本でもどの部分も爪掻きで織るのではなく、櫛のほうが美しく織れる部分は櫛で織ります。証紙の写真の上の写真は、お太鼓の部分を裏から写してございます。裏を表にして織りますが、糸の始末は表でいたします。絽でなければ糸はもっと短く切りますが、絽の場合は、糸が抜けることもありますのでこのように少し残して切ります。昔は裏に糊をして糸が抜けるのを防いだりしておられました。上から4枚目の写真は前の柄の配置をご覧いただいています。絽つづれは単衣、夏の季節のための帯です。むかしは、絽の留袖にもこの絽つづれの八寸帯を締められました。いまは絽や紗の袋帯をお使いになられます。八寸は用途が少なくなり、とくにスクイの特殊な技術を必要とするつづれは滅びの前夜だとおもいます。しかし、絽の付け下げや紋付、絽の小紋、また、単衣の付け下げから無地など袋帯では果たせない、しっとりとした大げさでない礼装のための帯としてお使いいただければお役に立つと思います。以前から、都さんの絽つづれは知っていましたがなかなか扱えませんでした。80歳を目前にようやく果たせた・・・ような思いです。あと二柄、明日からごらんいただきます。¥155,000、-(別税)でお願いいたします。