七野、引き箔袋帯Ⅱ

 

 

 

わたしのような昔の呉服屋は感覚的についてゆけないのですが、買い継ぎのかたの話では、このような柄が支持されているのだそうです。わたしは日常着としてのきものから出発していますので、おしゃれな感覚はあまりありません。でも、広い視野から見ておられる買い継ぎのかたの話は前向きに受け止めなければわたしが時の流れから置いてゆかれます。ただ、帯の品質は素晴らしく、みなさまに触っていただきたいと思います。わたしの父はつづれを織っていましたから、わたしもいろいろな糸に接していました。この本袋という織り方は表生地と裏地を同じ糸で織ります。それは練りこみも糸質もよほどよくないと織れない拵えです。これが本来の帯というものです・・・と申し上げたいほど上質の帯だとおもいます。

七野、引き箔、丸練り、本袋。袋帯

 

 

七野さんはちょっと特別な機屋さんです。みなさまには苧麻の大柄の袋帯で何度かご覧いただいています。自分の信じる帯地をひたすら創ることが生き甲斐・・・そんな機屋さんです。わたしは現役のうちにはこの引き箔の本袋は扱えませんでした。魅力はありますが値段についてゆけませんでした。先日、取引もなくなった長年の友人である買い継ぎ問屋の方が上京の折り立ち寄ってくれました。わたしがしょんぼりとしているので、求めなくてもいいから、藤田さんと七野の帯地をホームページに載せてみてはどうか。売れなくてもいいではないですか・・・品物は普通にはネットにでるようなものではないのですから、お客様が興味を持たれ話題になれば好きなきものの話ができるではないですか・・・まことにありがたいお話で、好意を受けることになりました。藤田さんや七野さんの帯地は、買い継ぎ問屋といえども、機屋さんとよほど信頼関係がなければ買えない機屋さんです。みなさまも藤田さんのホームページを訪れていただきますと、社長さんの在り方をご理解いただけると思います。一点一点がすべて手作りで、おなじものは二つとない創作品です。このレベルの帯地は他の機屋さんが真似しようとおもっても出来ない世界です。この買い継ぎの人は、他にも引き箔地に加賀刺繍で袋帯(百万を超えるような)を作ったりしておられ普通の量産の機屋さんのものは扱われません。この七野の帯は4柄ごらんいただけます。また、藤田さんの名古屋は9点ご覧いただけます。わたしが年のせいで要領よく素早くが出来なくなっていますので、ゆっくりとご覧ください。現役のうちにできなかったことをぽつぽつとこのような形でみなさまに提供できることもわたしにとっては喜びではあります。値段は書かないでもらいたいと言われていますので、申し上げれません。生産が少ないですから、デパートにには出ませんが、著名な専門店では扱っておられます。この七野さんは20万円台半ばです。のちにご覧いただきます藤田さんの帯地は15万から35万くらいです。楽しんでいただければわたしといたしましては喜びです。

河崎さんの袋帯

 

河崎さんの袋帯です。河崎さんはもともと龍村平蔵さんの工場長をなさっておられ、平蔵さんが亡くなられて機屋として独立なさったかたです。今は孫の世代ですが機や糸遣いは龍村さんの時代そのままです。いまはタペストリーに力を入れておられ、普通の帯に比べて感覚が違う部分を感じられるかと思います。この感覚を好まれるお客様方も多く、二十年ほどご愛顧いただいてまいりました。この帯は芯を入れて仕立て上げてございます。たきちでは¥170,000、-でお求めいただいてまいりました。お仕立てはサービスとさせていただきます。ご希望の方がございましたらよろしくお願いいたします。

信州で見つけた友禅

 

 

この友禅は信州で染められています。もともと長野県、山梨県、また埼玉県の荒川沿いには以前から友禅を染める工房がおおくありました。わたしも以前に熊谷で染めているという方の話を聞いています。わたしが懇意にしている帯の買い継ぎ問屋の人が長野県の呉服屋さんで見かけてまちがいなく板場で染めていることを確かめて、わたしに教えてくれました。東京で染めると地価のこともあり、コストはどうしても高くなります。ですのでブランドとして確立して値段を維持したい・・・と努力なさいます。わたしなども落合の染屋さんには生地を出して染めてもらっていたのですが、数年前に断られ、自社の染め上がりを貸しますから値段は当社の規定により・・・と言われて、江戸小紋は扱わないようになりました。この染め師さんは注文が少なくなりほとんど染めておいでではないようですが、わたしの懇意な人が試みに6柄染めてもらったところ、いい仕事ですので扱ってみてはどうかと教えてもらいました。あるていどの数量を定期的に発注してゆかねば、仕事としては成り立ちませんのでまだ本格的に立ち上がっていないのですが、シルクスクリーンではなく、昔ながらの板場の送り友禅ですから、みなさまに申し上げてご助力をいただきたいとおもいご覧いただいています。板場で型紙で染めているところを写真に撮ってもらうようお願いしています。みなさまのメリットとしては地方で染めておられますからコストがまるでちがいます。型継ぎなどの技術が下手であれば安くても魅力はないのですが、長年板場で染めてきておられますからいい腕だと申し上げれます。値段は¥98,000、-(別税)でおねがいいたします。ほんものの板場の友禅としては半値以下と申し上げれるくらい値打ちのある染め物です。柄が揃うのは数か月先になると思いますが期待してお待ちください。

狂言紋、染めあがりました。

 

お客様のご了解を得て、アップしています。この帯は私は完成までまったく携わっていません。まことに心残りなことでございます。これだけの染めに参加できなかったことは自分の財産が増えなかったような気がして、次にこのようなご注文をいただいたとき、どのように対処するかまったく見当がつかないことが惜しまれるのです。私事はさておきまして、糊糸目の味わいをお楽しみいただきたいのと並んで、お能の席にこのような狂言紋の帯地をお使いいただけるのはとても素晴らしいことだと思います。多くの部分は染め屋さんの感性に負うところが大きいです。長いキャリアーと磨かれた感性が生んだ帯だと思います。わたしが同席して口を挟んだら、もしかすると足を引っ張って駄作になったかもしれないと感じています。わたしの感性の外の世界だと感じましたが、とても勉強になりました。この帯を締めての写真を頂戴できるようお願いしていますので、どのような着姿になるか、みなさまにご覧いただけると思っています。織の帯とちがって、ただ一点の創作になります。わたしはとてもみなさまにお勧めしたいと思っています。普通の染め名古屋と同じ値段です。

格子大島

 

ただいまも生産しております格子柄の大島です。普段のきものとして黄八丈とともに一世を風靡した反物ですが、普段にお召しになられる方が少なくなって、いまは細々としか生産されていません。わたしは、この反物をよく雨コートにお勧めしてまいりました。雨に当たりましても大島の生地は縮むことがございません。生地も薄地で軽く、雨コートとしてはとても適していると思います。それも、ツーピース(上は単衣のコート、下は裾除けの形に仕立てて、楽にハンドバッグに入ります。)に作り、ガード加工をいたしますと、単衣の普段のコートと雨コートの二役を兼ねます。一反の在庫の残り物ですが上手にご利用いただければありがたいことです。¥19,000、-(別税)でおねがいいたします。

ひと月ほどお休みをいただいていました。体調も今一つだったのですが、わたしは趣味としてむかしから読書がございまして、とくに仏教についてはとても関心がありました。私たちの年代の常として、親鸞から入り、やがて禅に興味を持つようになり、座禅に傾倒しました。それが最近は初期の仏教、お釈迦様の説かれた内容になんとも懐かしく温かくこころ落ち着く思いがあり、しばらくの時間はまっていました。最近は多くの学者の方々の地道な研究で、お釈迦様の悟りから布教にいたる歩みがほぼ解明できているかと思います。だからといって、お釈迦さまの悟りの内容がわたしにわかるわけではないのですが、鉄の生産がきっかけとなって、農業の生産が爆発的に拡大し、社会が大きく変化する時代に革命的な思想として仏教が出現したことは素晴らしいことだったと思っています。現代と重ねてみても2500年以前のお釈迦様の言葉は実に核心を突いていると思います。梅原猛さんが仏教を救世の思想とおっしゃられたのも腑に落ちるとおもっています。最晩年に原始仏教に回帰するとはおもっていませんでしたが、なにか温かな気持ちになれる読書でした。

 

 

夏・白大島

 

 

織機で織っていますが、白地の夏大島です。この反物も私が自分の作務衣にしたいと思っていたのですが、一日かけての作務衣の制作が大儀になりまして、断念いたしました。大島はご存知のように糸に撚りがかかっていません。絹糸は撚りがかからなければ水につけても縮むことはありません。みなさまのきものの裏地である羽二重も撚りがかかっていませんから、裏地が縮むということはありません。ですので、昔から旅行は大島が最適・・・と言われてきました。雨に濡れても縮みませんし、軽くて楽なことも大きな特徴です。さて、この大島ですが、わたしは小千谷の麻の代わりにウオッシャブルの作務衣として着てみようと思いました。作務衣でしたら男物にもなる柄です。端をすこし切り湯通しをいたしてみましたが、幅も丈もまったく縮みはありませんでした。みなさまは麻のきものはご自分でネットに入れて洗われます。つまりウオッシャブルでございます。同じようにこの大島もお仕立てなされて、単衣の時期と夏とにお使いいただきたいと思います。麻より丈夫ですし皴にもなりません。洗われましてもアイロンの仕上げはなさっていただかねばなりませんが、普段着としても、また、お稽古着としてもとても重宝なきものになると思います。織機で織った1反だけの大島にずいぶん力をいれて宣伝しているようですが、よくお召しになれる方々は上手に応用していただいて、普段のものは洗いのコストもかからず、高品質のものをご活用いただきたいとおもいます。小千谷の長じゅばんに合わせておめしいただきたいとおもいます。¥29,000、-(別税)でお願いいたします。生地の腰の強さもあり、単衣にも十分お召しいただけます。