スクイ・名古屋帯

生成りのベージュ地に金糸でスクった名古屋帯です。この手はなかなかの織り手だとおもいます。柄の趣をよく生かし、雰囲気を変えながら織り上げておられます。スクイは爪ばかりでなく、櫛を使って糸を寄せてまいります。ご覧いただいている面は織るときは裏になっていて、鏡に映る織上がりを見ながら進めてまいります。つかう糸によってご覧いただいているようにすこし野趣に富んだ表現もできます。つづれは精巧な几帳面な織物に仕上げるのですが、紬糸をつかったスクイは思いもよらぬ変化を楽しんでいただけます。わたしが若いころは、スクイの専門の機屋さんも多く、近江八景や民芸調の図案をいろいろ織ってもらいました。坂下さんなど著名な機屋さんも今はなく、腕に覚えのある職人が細々と個人で織り続けておられます。いつの日かスクイの面白さを愛する人が増えて、一つの部門として生き残れますよう祈ります。この帯地は¥69,000、-(別税)でお願いいたします。