このお店は手描きのきものを制作なさる専門のお店です。ここが着物つくりの頭脳であり司令部です。下の写真は、柄の部分に防染のための糊を伏せ、これから地色を染めるところです。生地の下に図案が見えます。この図案を作るところからきものは出発します。柄のタッチ、どのようなきものに作り上げるか・・・すべてこの人の感性、頭脳にかかっています。もうこの段階では、糸目の職人選び、色を挿す職人のひととの打ち合わせなど終わっていて、完成したきものの姿が見えていることでしょう。京友禅は分業だからこそ魅力がつきないきものが作れると言われています。職人ひとりひとりが自分の得意な分野を持ち、その部分では自信と誇りを持っています。ですから、会社に出勤して、与えられた仕事をこなす・・・といった風景にはなりません。仮にそのような制度になりますと、個性は抑えられ、どのきものも同じようになってしまいます。たくさんのお山の大将をそれぞれ生かしながら一点づつ全く違う世界を表現してゆく・・・とてもやりがいのある仕事ですね。写真のようにして、各地の問屋の方、有力な呉服屋さんなどが注文を出したり、染め上がりを求めていかれます。