誂えの染め帯

この帯はお客さまの誂えの染め帯ですから、商品のようにこのコーナーではご覧いただけないのですが、お願いしましたところ快くご承知いただけました。このお客様は大阪在住で、わたしが老齢でとても御用が勤まりませんので、染め屋さんに事情を話して直接いらしていただいています。とても目の見える方で、染め屋さんも教えられるところがあります・・・と言われ、例外として認めてもらっています。みなさまにご覧いただきたいのは、糸目と彩色です。一月の松から右へ桜、桃の花、桜の花・・・と十二の月の花を描いてあるのですが、糸目の細さ、正確さ、さらにその糸目のなかに彩色する芸の細かさ、まことに見事なものです。この加工を着物にいたしますと重すぎてちょっと息がつまります。もうすこし大振りのほうが拝見していてホッとします。帯は小さな部分でしっかりと見てもらえる加工が必要ですので、とても濃密な加工をいたします。まだこのレベルの染めができる職人がおられるのです。このレベルは京都でもトップの人たちです。まだ一世代くらいは継続できるのでは・・・とおもっています。このような記事は旦那のブログで独り言として聞いていただくのが筋なのですが、旦那のブログに訪れていただく方が少ないので、このコーナーを使わせていただきました。