菱健付け下げ、源氏香

来年になるかもしれません・・・と言われていました、菱健の付け下げが染め上がり、昨日届きました。源氏香の図案にもとずいています。地色は一番上の明るいブルーの地色がほぼちかいかとおもいます。加工は手描きで結構重い加工です。源氏香は香道の遊びの一つで、五種類の香りを聴いて(嗅いで)同じ香があれば線で結び、違う香りであれば独立した線で表わします。一番下の写真の模様は左胸の柄ですが、最初の香りと三番目と四番目がおなじ香りで二番目と五番目に聴いた香りが同じです、という答えを図にしています。この模様を胡蝶の物語にかけているのです。源氏物語五十四帖のうち、桐壺と夢の浮橋の二帖をのぞく五十二の物語を表しています。わたしも、もう二十年以上前に、香の図案の付け下げに凝りまして、たくさんのお客様に創作させていただきました。年の暮れ、あるいはお正月、のんびりとたきちのホームページをご覧いただく方がいらっしゃるかもしれません。過去の作品は記録がとってないものが多いのですが、いくつか残っているとおもいます。そんな写真をご覧いただきながら、楽しんでいただければ・・・と思います。源氏物語は多くの方が現代語訳をなさっておいでですが、大和言葉の美しを楽しんでいただくのには、原文のほうが感じられるようにおもいます。左胸の紋様の胡蝶ですと、こんな書き出しになります。「やよい(三月)の二十日あまりの頃ほひ、春の御前の有様、つねより殊につくしてにほふ花の色・鳥の聲、ほかのさとには「まだ古りぬにや」とめずらしう、見え聞こゆ。山の木立、中島のわたり、色まさる苔の気色など、わかき人ゝの、はつかに、心もとなく思ふべかめるに、唐めいたる舟、つくらせ給いける、・・・このような書き出しです。

この付け下げは、重いのですが、前に地色を間違ったりしましたので、値段を指定いたしました。¥170,000、-(別税)でお願いいたします。