萬葉さんの小紋

萬葉さんの摺り小紋です。大柄で大胆な構図を摺り染めで表現しています。生地、染めともにいい仕事をしています。地色が薄色で忠実に表現できません。すこしくすんだベージュの薄い色・・・ともうしあげれるかと思います。付け下げの代用が勤まるくらい、大柄な方がお召しになられますと、堂々とした立派な小紋になります。もっとも、この反物は小紋とも言えません。わたしが業界に入りました頃は、もうすでに大紋という言葉がなくなり、全部を小紋と呼んでいましたが、以前には大紋と小紋という呼び方があったそうです。江戸小紋が代表する小さな柄を小紋と呼んで圧倒的に小紋の生産数が多くなり、絵羽でない送りの染め物を一般的に小紋と呼ぶようになったようです。時代がうつり、友禅そっくりにプリンターで染めが可能になってきています。それはそれで価格が下がればいいことだと思います。ミシンで仕立ててコストがさがればもっと合理的でもありましょう。二代三代と着継ぐような発想ももたなくてもよくなります。たぶんそのような方向に進みつつあるようにも思います。この染めは私同様、プリントがなじめない世界の生産です。萬葉さんは、息をのむほど素晴らしい染めをなさる実力派のいい染屋さんです。もう一度おもいっきり難しい染めを試みてもらいたいと念願しています。¥59,000、-(別税)でお願いいたします。