新年度

今年も格別に暑い夏でございました。みなさまにおかれましては元気にお過ごしのことと存じあげます。わたしも少し健康を損ねていましたが、無事9月1日を迎えることができました。たきちは9月から新年度が始まります。心を新たに、お役にたてる一年を目指してまいります。  私は業界で五十数年の月日を過ごしてまいりました。作ることから卸、小売りまで大体のプロセスを経験し、次の時代のきものの姿がおおよそ見当がつくと思っています。端的に申しますと、もどきの時代になる・・・ということでしょうか。考えてみますと日本のきものに匹敵する衣装は世界に二つと無いと思います。自然の花鳥風月を手描きで染めたり、糸から紡いでくくりの工程を経て染め、手織りに懸ける・・・このような文化は他に類を見ません。大変高いではないか・・・とみなさまおっしゃられでしょうか?私は生産の現場では、高いと思ったことはありません。ある一定の量を作ることで(職人の方々の寝食を忘れた働きによるのですが)コストは大変に抑えられていると思います。ある一定量の生産ができなくなったとき廃業するか、価格転嫁に追い込まれます。結城や小千谷は世界文化遺産に指定されましたが、苦境はつづいています。惜しいこと・・・と心から思っています。 この一年、こころこめた仕事をしてゆきたいと念願しています。

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