


さいきん、この染屋さんが試みておられる「付け下げ小紋」をごらんください。付け下げは、脇では柄が合わなくても、上前で柄を必ず合わせます。訪問着はご存知のように上前、脇、背縫い、袖と身頃、衿と上前のすべての部分で柄を合わせます。柄を合わせるためには、下絵も複雑になり、色挿しの時にも、合い口の色を合わせなければなりませんので、とても神経をつかいます。小紋は送りと申しまして、同じ柄、色の繰り返しですから、染める人は気分的にずいぶん楽です。付け下げ小紋はそのような意味で、同じレベルの染めをいたしましてもコストは小紋と付け下げの中間くらいで収まります。ご覧いただいている付け下げ小紋は、上前も柄はあっていませんが、左胸、袖、身頃と付け下げの柄の配置になっております。2~3年前から、小紋でありながら付け下げ風に柄を配置したきものを染めておられましたが、より一層発展させた作品を作られるようになりました。濃紺地に菱取りで友禅を配しています。上前は合い口はありませんが、袖、左胸、身頃と付け下げの柄の配置にいたしてございます。典型的な関東好みの柄でございます。ひとつ注目していただきたいのは、真糊で糸目を置いている点です。最後の写真の白く抜いています井桁の部分は真糊の特徴がよく出ています。わたしの真糊好きを笑われる方もいらっしゃいますが、この味わいはやはり手つくりのぬくもりがあり、ゴム糸目にはない味わいがあります。いまでも真糊で染めるところはめったにないのですが、多分近い将来なくなるであろうとおもいます。どうぞ、真糊の味わいをお楽しみください。値段は申し上げれませんのですが、小紋よりすこし高い値段でございます。
注文いたしておりました染め物はあと1点で終わります。いい腕の職人さんの手で、鳥獣戯画を染めてもらっています。蛙やウサギが生きて染めあがってまいりますかと期待しています。みなさまに楽しんでいただけるとおもっています。
