誂えのきもの

 

みなさまご無沙汰いたしております。コロナの騒ぎでたきちも半分お休みのような雰囲気なのですが、コロナ騒ぎが収まってからのきものを考えて作っておかなければならない方々もいらっしゃいます。また、なにがあってもお好きで創作に参加なさる方もいらっしゃいます。この方は、たきちばかりでなく、お仕事の関係上百貨店からもお求めになっておられます。ですから、値段のことも視野が広く、私どもにお越しいただいているのは、創作のアイデアや着物つくりに自分も参加し、一つ一つに心込めた作品が作れるから・・・だと存じています。京都の染屋さんまでお越しいただけるようにいたしてございますが、東京で会えるなら便利なことこの上ないとよくご参加いただいています。

上の写真は色の出も悪く、ご覧いただきたくないような写真ですが、下の上前のアップの写真は実物に比較的近いかと思います。このきものは、染屋の親方がこのお客様のお好みをよく弁えて、一点のみ創作して持参なされました。わたしは入院中でいなかったのですが、お客様はとてもお気に召してお求めになられたそうです。そうなんです。このレベルのお客様になられますと、中間の呉服屋は必要はありません。染める人と着る人の二人でお創りになられます。そして、この姿が私の最も望んでいることなのです。店がありますので、足場として、集会所のような感覚でお客様がお越しいただく・・・そのような場所に・・・とおもっていました。80歳を超えて、いくばくかの経費は頂戴しているのですが、この上なくたのしい仕事をさせていただいています。

下の写真は糊糸目の腕の立つ職人の手になる冴えた染めの付け下げです。わたしはこのような作品に出会いますと、感動します。染めを指揮する親方、そして、その指示を受け止めて腕の限り表現する職人。評価できるお客様・・・・わたしが携われることがこの上なくうれしいことです。