田村哲彦、ぼかし小紋二点

 

 

田村さんのぼかしは結構有名でして、なかなかこのぼかしの雰囲気を出せる職人がおられません。わたしも京都で同じように染めてもらいたいと頼んだことがありましたが、違った世界になってしまいました。お茶席でもよし、街着としても、観劇、食事会などと万能選手の趣があります。小紋としては格の高い染めですので、やや付け下げに近い感覚でお召しいただきますのが正解かなと思います。20年ほど以前には、この染めの柄を合わせて訪問着仕様のものを染めてもらい、刺繍などをあしらって、おしゃれな付け下げに作ったりいたしました。この生地は田村さんが丹後に特注で織ってもらった生地だとのことで、単衣もしくは8月を除いた5,6,7,9月、にお召しいただけます。8月はいまはもっと透ける生地(例えば紋紗など)が望まれますが、いぜんですとこの生地ですと夏物としてお召しいただいたと思います。わたしがこの反物を求めましたのも、生地を持って見て、これは・・・と思ったからです。田村さんはいつのころからかわれわれを相手にせず、展示会を全国規模で展開なされておられました。この小紋も40万を超えて発売なされておられたそうです。以前、同じような染め上がりで見積もってもらいましたが、職人の質が問題で、いい職人の手にかかると17万くらいでお求めいただかねばならなかった覚えがあります。この反物は¥98,000、-(別税)でお願いいたします。

藤田さんⅧ、Ⅸ

 

 

 

上の柄は茅引き真綿ドットコムとなずけられています。下の柄は、わたしが全体の写真を撮影していませんで、部分しかご覧いただけません。めばえとなずけられています。茅引き真綿ドットも下のめばえもいい柄だと思います。茅引き真綿はそうとう高い帯地だと思います。

先日、京都から田村哲彦の作品が送られてまいりました。昨年、田村哲彦ブランドを経営する柏田屋さんが倒産し、入札があったのでめぼしいものを送りますと言われました。わたしは産地が違うものですからまったく知らないまま入札があってから初めて知ったような次第です。30反くらいあったのですが求めることが出来たのは2反のみでした。すこし買値が高いのではないのですか・・・?とズケズケと申しましたのですが、それどころではなくて、買い負けているのです・・・と言われました。小さなブローカーが高値で買いあがってくる・・・そんな感じでした。たしかに多くの染め屋さんがいい作品を作る環境ではありませんので、粗悪・・・と言えるほどの染め物が圧倒的に多い時代ですから、田村哲彦のものでしたら買いあがってでも求めたいほど商品不足なのはわかりますが、入札のものですと半値が常識だと誰しもが思うのですが・・・あす、わずかですがご覧いただきます。

藤田さん、Ⅵ、Ⅶ

 

 

上の帯地は八寸幅で、ワッフル二層という名前です。先日のワッフルよりも少し重い織りのようです。下の帯地は迷路図と名ずけられた九寸の帯地です。この度の9点の中ではただ一点の九寸幅です。芯を入れて仕立てる帯地ですから、合わせるきものの範囲は少し広がります。格の高い小紋にもお使いいただけると思います。わたしは九寸の方がなじみがあり、感覚としては近いものですから、九寸が贔屓になってしまいますが、本来この織り方の帯地は八寸が持ち味を生かせるのかもしれませんね。

藤田さんⅣ,Ⅴ

 

 

 

 

上の柄はドット格子と申します。下の柄はワッフルと申します。わたしの出品順があまりよろしくありませんでした。ワッフルはもう一柄ワッフル二層という重い柄がございました。ともあれ、ワッフルは私が拝見しても重い織りのように思います。ドット格子はもう二十年ほど以前からお求めいただいていた記憶があります。柄は違いますが、藤田さんの中では素朴で私でもついてゆけました。単色の大島なんかにお求めいただいたようにおもいます。ワッフルは重そうですね。どのようなきものに合わせる感覚なのでしょう?米沢の新田さんなどでしょうか・・・みなさまのご意見を伺いたいとおもいます。最近は専門店で藤田さんの個展を開催されるところが多くなっているのだそうです。買い継ぎの方の話では、地方でも老舗の呉服店で個展を・・・と希望なさるらしいです。なるほど私が時代遅れなのかもしれません。でも、わたしはお茶の方々を主に何十年も過ごしてきていますので、お茶席のきものが身に沁みついています。簡単には変われませんが、藤田さんの帯は夢があって楽しいですよね。それと、糸遣い、織りの不思議さという魅力があると思っています。

スクリュウウエーブ二色

 

 

 

 

 

この柄、スクリュウウエーブが最も高い織りのようです。わたしは以前に拝見しているのですが、自分の世界ではなく、興味も持ちませんでした。お客様から教えていただき、いまもっともホットな織だとおしえられました。織る職人のことまでみなさん研究しておられます。まあそこまではいかがかと思いますが、たしかにデパートの特選の訪問着なども150万とか250万くらいのものがよく売れていると聞きます。わたしはそれはあまり健康な状態ではない・・・と思っています。富士山が高くそびえていられるのも、すそ野が広いからです。手描きでも数分の一でいい訪問着がたくさんあります。そういった名もないいい作品をたくさんお求めいただいて、その上に念入りな創作品が一割くらいお求めいただいている状態が正常ではないのでしょうか。・・・とわたしは思います。と申しましてもこの帯が異常だと申し上げているのではありません。作れる量がほんのわずかなのですから、名前は知られているが現品が無い・・・という世界はあっていい世界だと思います。もっと捨松さんや都さん、あるいはまことさんなどに頑張ってもらいたいと思います。泰生さんだって、八寸の織帯は素晴らしいものを作っておられたのですから。

藤田さんのドット名古屋帯

 

 

先日も申し上げましたように、藤田さんはちょっと特別な機屋さんです。他の追随を許さぬ高い織りの技術力は業界の誰もが認めるレベルです。社長さんの理想を職人の人たちもよくわかり、最近の業界の中では異例と言ってよい光彩を放っている機屋さんです。わたしは大いに尊敬し、できれば現役中に扱いたかったのですが、ご存知のようにわたしは小紋や付け下げ、無地の紋付、ウオッシャブルの長じゅばん、お茶席の帯地などの仕事に追われ、このレベルの重い仕事に取り組めませんでした。いま、買い継ぎのかたの好意でこのようにたくさんの柄をご覧いただけるのは楽しいです。今日は一柄ですが明日からは日に二柄くらいはアップしたいと思っています。以前、どのように織られるんだろう・・・と興味を持ち、ひっくり返したりずいぶん研究してみましたがわかりませんでした。また、他の買い継ぎにも声をかけたのですが、取引が出来ない・・・と言われる結果でした。わたしのような数を買ってバッタ品の値段にさせようといった発想では通用しない機屋さんだ思った記憶があります。お客様のほうがよほどよくご存じで、職人の名前から、退職した時期までご存知の方もいらっしゃいます。買い継ぎの人も、静かなブームです・・と言われます。この柄は八寸の織で、雲海ショートと申します。一点一点同じものは作られませんしそれぞれに名前がついています。追加のご注文は受けてもらえません。ほんらいの高級呉服の在り方なのでしょう。