職人の腕ときもの

この絽の小紋は、付け下げの風格を持ちながら、着やすい小紋の作りにしてございます。染めは付け下げの染めと同じ、下絵から糸目を置き、糊伏せ色挿しと手作りの重い加工です。夏物ですから、感覚としては、重さを感じてもらわないように、色数を抑え、淡白な中に気品ある出来上がりにしたいと願いました。糸目を置く職人と色挿しの職人の方の呼吸が合った作品になりました。もっとも指揮を取っていただく染め屋さんの力が大きいのですが・・・図案を見せてもらった時に地色は瞬間に決まりました。中の色は染め屋さんに任せました。(わたしよりよほどセンスがある方ですから)自画自賛ですが、ことしの傑作のひとつになったと思っています。さいわいお気に召していただき、ぜひ拝見したい・・・とお願いしていましたので、写真を撮らせていただきました。プリントが9割を超える時代に、このような作り方のきものにご理解がいただけるのは、まことの幸いなことです。