染める

先染め:
糸の段階で色染をし、織るのを先染めと言っています。白い糸のまま織り、染めるのを後染めと申します。先染めにはお召しや紬があります。お召しは江戸時代に完成された織物で、肌さわりが良く、愛用されました。お召しの名前は、将軍様がおめしになったので・・・そのように名付けられたのだそうです。塩沢、十日町、西陣、米沢などの産地があります。男物は、準礼装に使います。お茶席の男性のきものは多くはお召しに縫い紋です。テレビでご覧になられる大沢親分のきものは多くが米沢お召しで、鈴源さんは当社のものがほとんどです・・・と鼻が高いですが、私はすこし眉につばをつけて聞きます。
紬はただ今脚光を浴びています。結城紬、大島紬、上田紬(信州紬)、米沢紬(置賜など手引き真綿の糸で織る上質の織物が多いです。)、琉球紬(久米島や読谷村花織り)など有名ですが、わたしは日本のどこででも紬は織られていたと考えています。養蚕をする家庭では、二個くっついてしまった繭は、糸に細い太いが出来ますからちりめんのような繊細な白生地に使えません。くず繭として自家消費いたしました。いちどグチャグチャの真綿状態にして、そこから指に唾をつけながら糸を取ってまいります。つむいだ糸が紬糸です。藍、紅花、蘇芳、そんな立派な染料ではなくても、たまねぎの皮や梅ノ木の枝、果実や木の葉、草の根など身近にあるものを利用して染め、自分で織ります。養蚕する家庭の数ほどの紬があったのではないでしょうか。
紬の評価が高まったのは、武士階級が普段着に丈夫で安価な紬を愛用し、その質素さが一つの風格を与えたからではないでしょうか。
現代では、紬の白生地も多く生産され本来礼装にならない生地に礼装の染め加工をする面白さ・・・などを味わえます。

後染め:
白生地に染め加工するものを全体に後染めと言っています。無地染めと柄染めに分けて整理してみます。

無地染め:
浸染めとも申します。染料を溶かした湯に生地を入れて染めます。酢酸などで色止めします。

引き染め(暈し染めを含む):
生地を引っ張り、伸子で横に広げ刷毛で染料を引いて染めます。染料も発色の仕組みも浸染めと異なります。