手描き小紋Ⅱ

 

 

この小紋は寛文小袖と名前を付けて、数年前に染めたことのある柄です。昨日の小紋と並んで手描きの小紋として設計されていました。みなさまは昨日の小紋とこの寛文小袖とどちらが重い加工かお見分けがつきますでしょうか?こちらの寛文小袖のほうが重い染めなのです。一つには、鹿の子の小粒の柄がございますが、手描きですので、この小粒の鹿の子の柄も全部糊を伏せなければなりません。鹿の子を手で伏せるということは、他の部分の柄もそれ相応に細かく、目鼻立ちをはっきりと描く構想で図案の設計をいたします。また、職人も重い柄と取り組む気持ちで向かい合います。司令塔は染屋のご主人です。彼の指示でものつくりが進んでまいります。この反物の染め上がりについて、いろいろな感想を申しておりましたら、ちょうど湘南からお越しの若いお客様がお気に召し、お求めいただきました。さすがに付け下げくらいの値段になりましたが、今後染めることも出来なくなりましたので、幻の小紋になってしまいました。付け下げより取り組む時間は長くかかります。職人の方も、また、染め屋さんとしては経営的には付け下げを選択なさりたいでしょう。香り高い素敵な小紋でございます。このような小紋をつくるところもまだわずかですが残ってるんだ・・・と申し上げたくご覧いただきました。