菱健・濡れ描き付け下げ

 

菱健さんの今年の柄の染めが大変遅くなり、いまだに染めが上がってまいりません。この作品は昨年度のものですので、値段は大幅に下げてお求めいただきたいと思います。手描きの付け下げです。草稿はあるのですが、あたりを付けて一気に筆で描き上げてまいります。職人の感性に負うところが大きいです。よく描けた付け下げだと思います。この地色、柄ですと単衣の付け下げとしてもお召しいただけるのではないでしょうか。写真の地色がうまく出ませんが、二枚目の写真の色が近いと思います。三枚目は袖の柄で、四枚目は左肩の柄です。¥98,000、-(税別)でお願いいたします。

本格派、手描き付け下げ

 

 

本格的な手描き付け下げをごらんください。地色はきれいな卵色です。若いお嬢様から40歳くらいまでの訪問着に匹敵する重いきものです。身頃も上前、脇縫い、背縫いと柄が合います。袖から衿にかけても絵羽になっています。柄を巻くようにぼかしが入っています。わたしの写真の技術不足で雰囲気がお伝えできないのが残念です。訪問着では重すぎて着にくいが、軽い付け下げでは重さがたりない席がある・・・よくうかがう言葉です。どうぞ手に取ってご覧いただきたいすぐれものの一点です。値段はどうぞ気軽にお訊ねください。たきちですから、みなさま納得いただける価格になっています。

 

 

 

 

きしやさんの小紋Ⅱ


わたしの写真の腕ではとてもこの染め味を表現できませんので、わたしがブログに載せるほど力が入っているのをご覧いただいて不思議に思われるかもしれません。わたしが業界に入りました1960年ころはこのような染めは珍しくもないごくごく普通の手捺染の小紋でした。特別に高額ではなく、いまの相場で6~8万くらいとおもいます。したてあがって10万前後のきものになるでしょう。数年前までは作っていたのですが最近は見なくなりました。写真の小紋はおだやかな自己主張の少ない染めです。コントラストも強くなく、糊もやわらかで、俗にもうします、見せる着物ではなく着る着物なのだと思います。銀座のきしやさんはとても有名な呉服屋さんでした。わたしは納めていた京都のメーカーしか知らないのですが、北秀ともうします製造卸の大きな染め屋さんでした。北秀さんほどの規模で高級品を制作しているところは現在ありません。この作品を拝見しても、生地の吟味(大塚です)、染める職人の気持ちのゆとりを感じます。日本の経済が奇跡的な登り基調の時代でしたから、このような普段の小紋にまでゆとりが与えられた時代ともいえます。全体におっとりとした持ち味があります。流行は変遷しますし、わたしの郷愁かもしれません。また、時代の変化に取り残された老人のくりごとかもしれないとも思います。でも、やはりこのような染め味は評価されてほしいと思います。

北秀の小紋

なんの変哲もない京都の単色の友禅です。着物になっては、縦の変わり縞柄と申せましょうか。この小紋はお客様が仕立て替えにお持ちになられました。拝見しまして、とてもいい染め味でしたので、ブログに掲載させていただくようお願いしました。商品ではありませんので、旦那のブログであと2枚の写真をご覧いただきたいと思います。

あけ田・白上げ付け下げ

 

 

 

あけ田さんの付け下げです。若松に宝尽くしの柄。お正月を迎えて初釜や新年のお祝いのためのきものとしてお手元に一点加えてください。みなさま、このような白抜きの染めは簡単だとおもわれるかもしれませんがじっさいにはとても難しい染めなのです。糸目や加工が素朴で単純なほど、職人の腕が問われるのです。関東好みの淡彩で品のいい、すこし粋な香りのする付け下げです。箔のみの格調の高い袋帯などを合わせていただいてはいかがでしょうか。値段は新年度に入りまして、値下げして勉強させていただきます。¥160,000、-(別税)でお願いいたします。

むずかしい付け下げ

 

 

とても難しい付け下げをごらんください。わたしはこのような感性の付け下げはこれまで避けてまいりました。一つには、この世界にはまり込んでしまいますと限度というものが無くなりますので、とめどなく追及してしまいます。きものの世界ではなく絵画の世界に入ってしまいます。そこまでのゆとりは私には許されていないのですが、家内がとても気に入って是非・・・と申しまして求めました。染めたところも値段もここでは申しあげれません。この着物を含めて私の取り扱っていますきものや帯は広い意味での琳派の世界です。琳派は公家、大名などの支持した狩野派、土佐派などのファインアートと呼ばれる純粋芸術に対して、台頭してきた町人の富裕層に支えられて生まれた生活芸術が発祥です。俵屋宗達は扇を制作していた工房のデザイナーでした。尾形光琳は雁金屋という呉服屋の次男でした。みなさん生活の中で求められる芸術性を追求してとても大きな支持を勝ち取りました。琳派は陶磁器から漆工芸まで生活全般にわたって芸術性を求めました。この作品をご覧いただいて、漆器の蒔絵を想像なさった方もおいででしょう。また、朝靄のおぼろに見える景色を想像していただいてもいいと思います。琳派は日本の美しく穏やかな気候風土から生まれました。日々の暮らしを通して、どなたもきびしい鑑識眼をそなえておられます。それだけによほど腕のいい職人さんたちの集まりでないと水準の高いものが作れません。十分に皆様の目に耐える着物だとおもいます。お楽しみいただければ幸いです。

新作・付け下げ

 

9月に入り、棚卸に一生懸命でした。なにしろお爺さんですので、なかなかスムーズに運びません。途中でこの染めをどのように変えたらどんなきものになるだろう・・・などと考えがすぐ横のほうに広がり、染め屋さんと電話で相談したり、帯でもどうも納得いかなくて、どの機屋さんならどんなものをつくるのだろう・・・と連想して心当たらを探したり、時間ばかりかかっていました。ぼちぼち染めも上がってまいります。ひとつづつご覧いただきたいと思います。

この付け下げは手描きなのですが、工程を一つ簡略にいたしております。ふつう、図案の上に生地を置いて、下から照明を当てて、図案に添って手で糸目を置きます。その糸目を型で置くと、同じ柄の付け下げや訪問着が出来ます。糸目を置くコストが下がりますので多くの方に手描きのきものをお召しいただくことが出来、とても結構なことだと思います。20代から40代の方まで幅広くお召しいただけます。この柄は4色染めておられ、同じ地色はございません。一つみなさまにご注意いただきたいことがあります。型糸目は、手で伏せる糸目よりも、軟らかい糊でないと型紙になじみません。糊がすこし軟らかいので、地色を染めるとき、濃い地色ですと、糸目を越えて地色が柄の中に侵入する場合があります。そのため地色は薄い色にならざるをえないのです。また、糸目は手で伏せますと、やはり生きた線が出ます。上手下手が一目でわかります。私たちは一目見て、手の糸目か型糸目かわからないわけにはまいりません。糸目の工程だけ簡略にしても、大きく値段は下げられます。何かの折に思い出してください。¥98,000、‐(税別)でお願いいたします。