世阿弥

雪ノ下アップ1-500

世阿弥は大和猿楽の一座の経営者であり、座付作者であり、主要な演者でもありました。当時の権力者の足利義満に愛され、トップスターに躍り出ます。今でいうアイドルでしょうね。父、観阿弥は世阿弥に知識階級との交際に耐えられるよう、和歌、連歌などの教養を身につけさせていましたので、戯曲の作者として優れた作品を作れる素養を身につけていました。しかし、アイドルには年齢的に賞味期限があり、愛寵を失なった一座を支えるのは大変な苦労が伴ったであろうと思います。晩年になりますが、70歳を過ぎて将軍義教によって佐渡へ配流され消息不明になります。第一級の芸を提供することと人気を維持することの両立は今と違いまったく保護のない当時は至難の業でしたでしょう。その世阿弥の経験を通しての芸術論、人生論として風姿花伝はあります。時代が変わっても学ぶ人が絶えないのはその実践の中から得た人生のコツにあるのではないでしょうか。