都鄙問答

三宝寺2-500

石門心学は江戸中期の石田梅巌の著書を出発点点として、その後のお弟子さんたちの完成させた哲学です。都鄙問答では商人としての心構えを説き、その高い倫理性が後世まで影響を与えました。渋沢栄一、松下幸之助、稲森和夫さんなどにその影響を見ることができます。基本的な考えは、商人の利潤は武士の俸禄と同じで、生活の糧として必要なものだが、自らをつつしみ精励努力し、誠意をもって仕事をしなさい。浮利を求めるべからず・・・・

その後、資本主義の大波にのみこまれ、経済学の解説書などでも2~3行触れられているだけで、ほとんど無視されています。とくに、新自由主義と呼ばれる国の規制や関与を排除すべきといった思想とは大きく違います。現代は資本が巨大になって、国でさえ隷属するような立場です。日本のバブルの崩壊もリーマンショックの後始末も国が膨大な資金を投入してしりぬぐいをしました。いま、人々の幸せより資本の自由のほうが優先されている実感があります。本末転倒というべきでしょう。せめて着物業界だけでも国内だけの小さな市場なのですから、資本の論理から外れてみてはいかがでしょうか。